災害時に認知症の方と安全に避難するには?

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災害時に認知症の方と安全に避難するには?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

なるべく普段の生活環境に近づけるよう、工夫しましょう。前回は、在宅介護のご家庭で災害時に備えて準備しておきたいことをお伝えしました。
万が一、自宅に危険が及んだり、被害を受けたりした場合は、避難が必要になります。
在宅介護のご家庭にとっては、とても大変なことです。

特に、認知症の症状がある方は、環境の変化やストレスに敏感なため、落ち着かない状態が続いたり、症状が悪化してしまったりすることも考えられます。
認知症の方との避難は、介護家族にとって大変な負担です。

自宅以外の場所で避難生活をおくることになったとき、どうしたら認知症の方に落ち着いて過ごしてもらえるのか。
在宅介護における災害への備えのひとつとして、考えてみたいと思います。

● 熊本地震でも認知症の方が避難所で生活
2016年4月に発生した熊本地震の甚大な被害は記憶に新しいところですが、避難所での認知症の方への対応の難しさもメディアなどで取り上げられていました。
介助する人や物資が足りず、十分なケアができないことに加えて、環境の変化から症状が悪化してしまった方も多かったようです。
周囲からの理解を得られず、いたたまれない思いをしたご家族もいらしたのではないでしょうか。

避難所での生活は、健康な人でも大きなストレスがかかります。
認知症の方ならなおのこと。
少しでも環境が変わると不安でたまらなくなりますので、混乱して周辺症状がひどくなったり、いままでなかった症状が現れたりすることも考えられます。

また、いつもと違う環境では食事も手を付けられず、排泄もままならなくなってしまうことが珍しくありません。

避難先で症状を悪化させないためには、とにかく不安を和らげてあげることが必要だと思います。
ご家族の方の心くばりや、周囲の方の理解があれば、落ち着いて過ごしていただくこともできるかもしれません。


● 認知症を悪化させないためのコツ
デイサービスにいらっしゃる認知症のご利用者様でも、環境が変わったことで落ち着かなくなる方がよくいらっしゃいます。
けれども、こちらの対応や話し方ひとつで、驚くほど穏やかになることがあります。
認知症の方の不安を軽減する接し方のコツをまとめてみましょう。

・笑顔を心がける
認知症の方には言葉がうまく通じないこともありますが、表情は伝わります。
怒ったりイライラしたりしている表情は、認知症の方を不安にさせますので、笑顔で接することを心がけてください。
認知症の方は「相手に受け入れられている」と感じると、安心して心が落ち着きます。

・話しかけるときは、正面から顔を近づける
認知症の方は、知覚できる範囲が非常に狭いので、なるべくそばに行って、顔を近くまで寄せて話しかけましょう。
上から見下ろしたり、横や後ろから急に話しかけたりすると、恐怖感を与えます。
正面から、こちらが少し見上げるくらいの角度で接してみてください。

・触れるときは「下から」
スキンシップは心を落ち着かせますが、触れ方にもコツがあります。
認知症の方に触れるときは、「下から」が基本。
手と取るときも、下からそっと優しく握ります。
体を支えるときなども、ご本人が認識できるところまで近づいて、下から腕を取るようにします。
上から押さえつけたり、後ろから急に触れたりすることは、認知症の方にとって大変なストレスです。

・否定的な言葉を言わない
記憶障害や見当識障害などで、現実とは違う発言をすることがあります。
たとえ間違っていても、「違うよ」「ダメだよ」といった否定的な言葉は避けましょう。
「そうだったの」「それじゃあ○○しようか」など、なるべく肯定的な言葉を返してあげると、穏やかさを取り戻すことができます。
会話を成立させようとするのではなく、感情のキャッチボールをするような気持ちで言葉を返してあげてください。

・ゆっくり、穏やかな口調で話しかける
なるべくゆっくり、短い文章でわかりやすく話すのがコツです。
一度にたくさんのことを伝えたり、声を荒らげたりすると、混乱や不安が増します。
またイライラした気持ちや焦る気持ちは、言葉からも伝わります。
優しい気持ちで穏やかに話をすることを心がけてください。

認知症の方は、外見からはわからないことも多いので、周囲の方から理解を得ることも大切です。
事情を伝えて、認知症の方への接し方を説明しておくと良いかもしれません。
認知症を理解してくださる方が多いほど、不安やストレスの要因が減ることになるのです。


● 避難所で落ち着いて過ごすための環境づくりを
避難所は体育館や公民館など、広いスペースが多く、大勢の人の話し声や気配で満ちています。認知症の方にとっては不安が大きいと思いますので、壁のそばや、人の出入りが少ない場所など、少しでも落ち着けるスペースを確保できると良いと思います。

また、知らない環境でも、なじみのものがそばにあると、落ち着きを取り戻すことがあります。
避難するときに、服や毛布、湯呑みなど、できるだけ普段使っているものやお気に入りのものを一緒に持ち出して、避難所でも近くに置いてあげてください。

何より、いつも一緒にいるご家族がそばにいることは、大きな安心につながります。
なるべく離れないようにして、不安な様子を見せたら、にっこり微笑んで「大丈夫だよ」「そばにいるよ」と声をかけてあげてください。

避難所での生活は、介護するご家族にとっても大変なことだと思いますが、どっしりと構えて安心させてあげることが必要だと思います。
なるべくご本人のペースに合わせて過ごすことを心がけましょう。


どれほど心を砕いても、不自由な避難所生活で体調や心の状態を保つことは簡単ではないと思います。
なるべく早く落ち着ける環境に身をおくことが必要です。
福祉避難所など、災害時の受け入れについて、普段からケアマネジャーに相談しておくと良いでしょう。

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