介護家族のための災害対策

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介護家族のための災害対策

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

「もしものとき」を具体的に想像して備えを整えましょう。地震や豪雨などの災害は、いつなんどき訪れるかわかりません。
誰もが不安を持っていますが、在宅介護をしているご家庭なら、なおのこと心配ですね。

停電で医療機器が使えなくなったり、身体が不自由なために移動が難しく避難が遅れたりすれば、命の危険に関わります。

今回のテーマは、在宅介護のご家庭が備えておきたい、災害のための準備や心構えについてです。いざというときに慌てないためにも、事前に何をしておくべきか、どのように行動すれば良いかを確認しておきましょう。

● 在宅介護のご家庭で準備しておきたい備蓄品
要介護状態の方がいるご家庭でも、災害対策の考え方は基本的に同じです。
ライフラインが止まったときのことを考えて、3日~1週間程度は自力で生活できるよう、備蓄品などを準備しておくのが基本です。

まずは「ないと困るもの」「あったら便利なもの」をリスト化してみましょう。
在宅介護のご家庭の場合は、おむつなどの衛生用品、介護食などを多めに用意しておくと安心です。

災害時に支給される食べ物は、おにぎりやパンなどが多く、嚥下(えんげ)機能が衰えている方の場合は誤嚥(ごえん)性肺炎が心配。
普段食べ慣れているものを、十分に用意してくことが重要です。お水やお茶は、在宅介護の時と同様に簡単にとろみをつけられるよう「とろみ剤」を準備しておくことも大切ですね。

また、おむつは吸収力が高いので、汚れそうなところに敷いたり、水を使う処置のときに下に敷いたりして使うこともできます。
ビニール袋を入れたダンボールの中に敷くと、簡易トイレとしても使え、後始末も簡単です。
避難所などのトイレが使いにくいこともありますので、普段はあまりおむつを使用しない方でも、多めに準備しておくと使い勝手が良いと思います。


● 災害に備えた「薬」の準備は?
介護状態の方は、慢性疾患などで複数の薬を飲んでいることも多いもの。
災害の被害状況にもよりますが、薬がなかなか手に入らないことも考えられます。

血圧や血糖をコントロールする薬や、けいれん止めなど、疾患によっては絶対に途切れさせてはいけない薬もあります。
ご本人の身体の状態によって、必要不可欠な薬は異なりますので、いま飲んでいる薬がどういうものなのかをご家族が把握しておくことも重要です。

かかりつけ医や薬剤師と相談して、どの薬をどれくらい準備しておけば良いかを聞き、災害に備えた量を確保しておくようにしてください。
また、「お薬手帳」は医療者が服薬履歴や健康状態を知るための情報がつまっています。

災害後はデジタルデータによる確認ができなくなることも考えられますが、お薬手帳があれば、避難先の薬局でも必要な薬を処方してもらうことができます。
避難時に「お薬手帳」を忘れずに持ち出せるよう、日ごろから大切に管理しましょう。


● 電源が必要な医療機器は「非常時」の確認を
電動の介護用ベッドやエアマット、人工呼吸器、たん吸引機、在宅酸素療法機器など、電源が必要な医療機器を使っている方は、停電したときの対応方法を確認しておくことも必要です。

どの機器にも、必ず非常時の使用法があります。
たとえば、電動の介護用ベッドなら、手動で操作する方法が取扱説明書に書かれているはずです。

人工呼吸器なら、予備のバッテリーも含めて、どれくらいの時間もつのかを知っておかなくてはなりません。電源がなくなったときのために手動で空気を送るアンビューバッグも備えられているので、こちらの使い方もきちんと覚えておく必要があるでしょう。

ご自身で調べるだけではなく、専門家に確認することをおすすめします。
福祉用具のレンタル元や、機器を製造している会社に、災害時にどんなことが起こり得るか、非常事態が起きたらどうすれば良いかを聞いておきましょう。

どれほど準備していても、災害時には平時では考えられないことが起こることがあります。
医療機器の取り扱い先、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャーなど、緊急連絡先をまとめてメモしておくこと。すぐにわかるところに貼っておけば、落ち着いて対応できると思います。


●「何に困るか」をシミュレーションしておく
広域災害が起きたときは、誰もが危険と隣り合わせですので、在宅介護のご家庭が優先的に救助してもらえるとは限りません。
公的な救助がくるまで、少しでも長く自力で維持できるように準備を整えておかなくてはなりません。

災害時に何が困るのか。
どんな助けが必要なのか。

起こり得ることをシミュレーションして想像をふくらませると、必要な備えや、相談しておくべき先が整理されると思います。

たとえば、身体の不自由な要介護者の方が2階で療養していたら、避難が難しいかもしれません。
電動の昇降機が使えない場合や、人手が足りない場合に、どうやって移動してもらうのか。
療養するお部屋の位置を変えるのもひとつの方法ですし、ご近所の方に在宅介護をしている事情を話して、いざというときのことをお願いしてみることも必要かもしれません。

また、避難所の生活が難しい身体状態の方でしたら、災害時の受け入れ先について、ケアマネジャーやデイサービスに行っている施設などに相談しておいたほうが良いでしょう。

私の知っている在宅療養者のご家族の方は、人工呼吸器を装着した在宅生活をしており、避難にも人工呼吸器が欠かせなかったため、ご家族が電力会社や消防署に災害時のことを相談しに行ったそうです。

なるべく自助努力でなんとかするのが理想ですが、在宅介護では周囲の助けがないとどうにもできないこともたくさんあります。
災害時の心配ごとは、誰に相談すれば良いのか悩む方も多いと思います。そんな時は、ご自宅に来ていただいている往診医や訪問看護師さん、福祉用具機器取扱いの方、ケアマネジャーさんなどに相談してみてください。「そのことだったら消防署に聞くと良いよ」「ガス会社に相談してみて」など、相談すべき場所や、解決のヒントをもらえると思います。
ヒントをもらえたら、その解決に向けて、その先の相手に相談してみたり、自宅の防災対策を見直してみてください。
何もないときにこそ、災害時のことを考えて行動を起こしておくことが大事なのではないでしょうか。

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