最期はどこで?延命治療は?「そのとき」困らないために今できること

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最期はどこで?延命治療は?「そのとき」困らないために今できること

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

新聞やニュース、テレビ番組などをきっかけに死生観について話しておきましょう。「介護は先の見えないトンネル」と表現されることがありますね。
介護に向き合うご家族のご苦労がどれほどのものか、よく表されていると思います。

しかし、どんな介護もいつかは終わりが来るものです。

どこで、どのように、最期の日を迎えたいのか。
ご本人の気持ちを聞いたり、ご家族で話し合ったりしたことはありますか。

死を考えることは、自分らしく最期を迎えるために「どう生きるか」を考えること。

介護生活においては、「自分らしく生き、最期を迎えたい」というご本人のお考えが、日々の過ごし方や介護、治療方針の指針になっていくのです。
人それぞれの価値観がありますので、ご自分の「生と死について」の考えをしっかり持つこと、そしてそれを周囲にきちんと伝えておくことはとても大切なことです。

今回は、介護される方が「どうしたいか」を知るために、ご家族でできることをお話します。

● 死を選べる時代。「聞いておけばよかった」とならないために
日本は世界でも有数の長寿国。毎年のように平均寿命が過去最高を更新しています。
とても素晴らしいことです。

長寿の理由のひとつとしてあげられるのが「医療の進歩」です。
さまざまな治療方法が確立され、患者は自分の意思で治療方法を選択できるようになってきました。

たとえ食事がとれなくなったとしても、胃ろう(胃に通じる穴を腹部にあけて、水分や栄養を送り込む方法)や、点滴で栄養を取るなどして、体の機能を維持することもそう難しくなくできるようになりました。
また、痛みを和らげる方法や延命の方法も進歩しています。また、在宅医療が広がり、有料の施設も多様化していますので「終の棲家(ついのすみか)」の選択肢も増えています。「いつ、どこで、どのように最期を迎えるか」をある程度選べる時代になってきているのです。

それにともない、介護生活では、ご本人やご家族が「どうしたいのか」の選択を迫られる場面が何度か訪れます。
尊重されるべきなのは、ご本人の意思です。

「その時」は5年後かも、10年後かもしれません。でも、もしかしたら、今日、突然にやってくるかもしれないのです。
そんな状況では、すぐに判断して答えがだせるものではありませんよね。
また、認知症や急変や衰弱など身体の状態によっては、ご本人が意思を伝えられないことも考えられます。

そんな時ご家族には「自分以外の人の重大なことを決定する」という重い責任が降りかかってくるのです。訪問介護の現場では、難しい決定を迫られて、苦しまれるご家族の姿を何度も見てきました。
ご本人の意向とご家族の気持ちが食い違ったり、ご家族の中でも、近くで介護する方と離れて暮らす方との意見があわずにトラブルになったりするケースもありました。

生死に直結することは、悩みも深く、何を選ぶにしても「これで本当によかったのか」という思いが長い間残るかもしれません。
認知症の夫を介護する女性から、「どうしたいのかこの人に聞けたらいいのに・・・。元気なうちにちゃんと聞いておけばよかったわ」という言葉を何度も聞きましたが、そう思われるご家族の方は多いと思います。


● いますぐ決めるのではなく、考えはじめることが大事
ご自分の介護は「ご自宅」で受けたいのか「施設」なのか、それ以外のどこかで受けたいのか。また、誰に介護をしてほしいのか。症状の完治が難しく、本人の力だけでは生命維持ができなくなったような場合、延命治療はしてほしいのか、してほしくないのか。
そして、最期のときをどこで迎えたいのか。

このような質問に対して、ご両親やパートナーがどう思っているのか、答えられるでしょうか。「聞いたことがない」「わからない」という方が多いかもしれませんね。

もしかすると、冗談めかして「ひとりのほうが気楽でいい」「家族に面倒をかけたくないから施設に行く」などという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。

果たしてそれが本心なのか、確かめたことはありますか。

もちろんご本人にも簡単に決められることではありません。
自分がどのように生きたいのか、あるいはどのように死を迎えたいのか、日ごろから考えていなければ、答えを導き出すことはできないと思います。

またその答えも、考える状況や時期によっても変化するものです。
死を遠い将来のこととして考えていた時と、急に現実のものして身近にせまった時とでは、とらえ方が大きく変わるものです。親を介護する友人の話を聞いたり、身近な人の病気や死、同級生の近況などに向き合ったりすることで、ご自分の「どう生き、どう最期を迎えたいのか」という思いが揺れ動くこともあるでしょう。

だからこそ、考えを積み重ねていくことが大事なのだと思います。

折に触れてコミュニケーションをとり、「どうしたいか」を聞いておかれることをおすすめします。
きっかけがなければ、真剣に「死」と向き合って考えたり、話し合ったりはしないものですから、結論を急ぐのではなく、ご家族でいろいろなことを話し合ってみてください。

考えるきっかけさえあれば、お互いに最期に向けての心の準備をはじめることができますし、何度も話をするうちに少しずつご本人の「こうしたい」という考えがはっきりしてくるかもしれません。

普段から話し合っておけば、いざその日が近づいてきたときも、さほど動揺せずご本人の意向を尊重した決断をすることができると思います。

最期を看取る家族が、悩んだり後悔したりしないためにも、元気なときからご本人の考え方や価値観などを知っておくことが必要だと思います。


● 話しにくい話題を聞く方法
とはいっても、「最期はどこで迎えたい?」「延命措置はどうする?」などといきなり聞くのは難しいですね。
死に関わることは、縁起が悪いようで話題にするのも気が引ける...という方も多いでしょう。

直接聞きにくければ、介護に関するニュースや新聞記事などをきっかけにするのがおすすめです。ドキュメンタリー番組、ドラマや映画、インターネットのブログなど、アンテナを張れば医療や介護に関する情報はあらゆるところに見つかります。

「こういうことが話題になっているけれど、お母さんはどう思う?」
「お父さんはこういうとき、どんなふうにしたい?」

などと、さり気なく聞いてみてはいかがでしょうか。
ご本人に自分ごととしてシミュレーションしていただき、考えを聞き出すことがポイントです。

はっきりした答えがでなくても、わずかな言葉の中からでも、考え方が伝わってくることも多くあります。
「自分はこうしてほしい」ではなく、「こういうのは絶対にやめてほしい」と言う場合もあるでしょう。

それだけでも知っておけば、大事な場面でご本人が嫌がる選択肢を避けることができます。
たとえ意思疎通ができなくなっても、「本人はこう思っている」と信じられるものがあれば、難しい決断を迫られたときにも背中を押してくれるはずです。

また、聞くだけではなく、家族としてのご自分の気持ちをきちんと伝えておくことも大切なこと。
どこで、どんなふうに介護をしたいのか、最期を看取ってあげたいのか。
家族として、どのような思いを持っているのかも、よく考えてみてください。

介護や医療の選択は、ご本人の意向が尊重されるべきですが、残される方の気持ちも同じくらい大事だと思います。
いろいろな話題をきっかけに何度でも話し合い、お互いの理解を深めておきましょう。

たとえ意思疎通ができなくなっても、「本人はこう思っているはず」と信じられるものがあれば、心の支えになります。

ぜひ話をする機会をつくってみてくださいね。

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