関節が固まるのを防ぎ、適切な角度を保つために

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関節が固まるのを防ぎ、適切な角度を保つために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

日常動作がリハビリにつながります。意識的に関節を動かしましょう。今回のテーマは、「関節の適切な角度を保つ」ということ
専門用語ではこれを「良肢位(りょうしい)を保つ」と言いますが、とても大切なことです。

自分で寝返りができない方を介護する場合、床ずれ予防のために定期的に体の位置や姿勢を変えてあげます(「体位変換(たいいへんかん)」)。

具体的には、少なくとも2時間以上同じ姿勢のままでいることがないように、体の向きを仰向けから横向きに、あるいは横向きから仰向けに変えてあげるわけですが、この体位の変換と並んで、関節の適切な角度を保つことも重要です。

その際気をつけたいのは、長時間同じ姿勢でいるなどして関節が固まってしまい、手足の曲げ伸ばしがしにくくなった状態(「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」)についてです。

今回は、この「関節が固まってしまう状態」が起きやすい部位や、「関節が固まらないように、適切な角度を保つ」ためのポイントをまとめます。

● ベッドのうえで、関節の適切な角度を保つには?
関節の適切な角度を保つことができれば、関節の動きが悪くなったとしても、日常生活動作への影響は少なくて済むと言われています。

膝(ひざ)の適切な角度は、軽く曲げた状態。角度にすると10~20°くらいです。
肘(ひじ)の適切な角度は、90°に曲げた状態です。

ピンと伸びた状態や、曲がりすぎた状態は、関節にとても負担がかかるので注意が必要です。
体の向きを変えてあげるときには、ただ姿勢を変えるだけではなく、膝(ひざ)や肘(ひじ)がそれぞれ適切な角度になるよう、整えてあげるのを忘れないでくださいね。

関節の適切な角度を無理なく保つには、クッションや枕などではさんで、ちょうどよい角度で支えます。
一点に体重が集中すると床ずれの原因になりますので、数カ所にクッションをはさみ込んだり、広い面で支えたりする工夫をしましょう。
ポイントはベッドと身体の間に空間ができないように埋めること。バスタオルを畳んだり、丸めて使ったり、座布団を2つ折りにして使うのもおすすめです。大きさや厚さを自由に調節できます。

麻痺(まひ)がある方に多いのが、手の指の関節が固まってしまう状態(「拘縮(こうしゅく)」)です。
手をグッと握った状態で手指の関節が固まってしまい、手のひらに爪が食い込んだり、手の中に床ずれができたりします。

手や指の適切な角度は、テニスボールを軽く握ったくらいの角度です。
これを保つ方法として、丸めたタオルを握っていただく方法もありますが、時間がたつと変形してしまいがち。

手指の関節が固まるのを防ぐ専用のクッションやサポーターがあるので、そうした介護グッズを活用すると、より適切な角度を保ちやすくなります。麦茶のティーバッグをガーゼでくるみ、握ってもらうアイディアもあります。お茶殻が汗を吸収してくれるので、掌を清潔に保つことができ、消臭効果も期待できます。

● 足首の変形はどうして起きる?
ご高齢で活動量が低下してくる方によく見られる足首の変形をご存じでしょうか。専門用語で「尖足(せんそく)」と言いますが、足首の関節と甲が伸び、つま先が下を向いたまま戻らなくなった状態のことです。

歩くことや動くことが減ってくると、足の裏が地面につくことも減って、体重をしっかり支えることができなくなるので、歩行が困難になったり、立った姿勢が不安定になったりして、さまざまな支障が生じます。

いままで、お伝えしてきた「離床(りしょう:寝床から離れること)」や「寝食分離(しんしょくぶんり:寝る場所と食事をする場所を分けること)」をかなえるためにベッドから立ち上がろうとする動作にも大きく影響します。

この足首の変形にも、関節が固まってしまう症状が関係しています。
仰向けで寝ていると、掛け布団の重みでつま先がやや下を向いて、足首が伸びた状態になりがちです。

ベッドで仰向けのまま過ごす時間が長くなると、足首の関節が固まってしまい、変形につながりかねないので、足首の関節の適切な角度を意識してください。

足首の適切な角度は、つま先が真上を向いて足首が90°に曲がった状態です。足首の変形を防ぐには、この状態を保つことがポイントです。

ドーナツ状に丸めたタオルでかかとを支えたり、クッションで足首を支えたりして、関節の適切な角度を保つようにしてください。お布団の重みで角度がたもてなくなることにも気をつけましょう。
足首の変形を予防・改善する専用のサポーターや装具もありますので、理学療法士さんや福祉用具の専門家に相談すると良いでしょう。


● 関節は「使い続ける」ことが大事
関節が固まる症状を防ぐには、関節の適切な角度を保つことも重要ですが、関節を日常的に動かすことも有効です。

たとえば、足首の関節が固まるのを防ぐには、立つことや端座位(たんざい:いすやベッドの端に腰かけて両足を地面につける座り方)が役立ちます。
立つときや端座位(たんざい)のときに、ご本人に足の裏をしっかり地面につけて体重をかけていただくようにしましょう。

足に体重をかけて身体を保つことが関節の維持につながりますから、立ったり座ったりする機会を意識的に増やしてあげてください。

上半身の関節をたくさん使うには衣服の着替えがおすすめです。
脱いだり、着たりする動きは、腕や肩など上半身の関節をたくさん使わなくてはできません。
脱ぎ着で苦労しているのを見ると、周りの方はつい介助したくなりますが、関節の適切な角度を保ち、関節の動きをよくするためには、なるべくご自身でやってもらうようにしましょう。

昔、お気に入りだった服を出して、「今日はこれを着てみない?」と声をかけたり、前開きではなく丸首の服、ちょっとおしゃれな細身の服に挑戦したりしても良いと思います。
ぜひご本人の「自分でやってみよう」という気持ちを盛り上げる工夫をしてみてください。

親切心からの手助けも、「身体の機能を維持する」という観点で言えば、かえって良くない場合もあります。
もちろん助けを必要とすることは多々ありますが、日常生活の中で、自力でできることはご本人に任せましょう。時間がかかっても手出しをせず、「親切にしすぎない」ことも介護には必要です。

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