「要介護認定」で適正な評価を受けるために介護家族ができること

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「要介護認定」で適正な評価を受けるために介護家族ができること

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

苦労している点などを具体的にまとめておきましょう。「要介護認定」をテーマに集中連載をしています。今回は第2回。
前回は、認定調査ではどのようなところを見ているのか、要介護度がどのように決まるのかなど、要介護認定の仕組みを具体的に紹介しました。

前回もお伝えしたように、要介護認定は不公平が生じないよう、複数のプロセスを経て厳格に審査がおこなわれています。
そのため、第三者から見ても妥当と思われる要介護度になることがほとんどです。

ただ、介護家族やご本人にもいろいろな事情があります。
「今より要介護度が下がってしまうと困る」という場合、現状をどう評価されるのか不安や心配もあるでしょう。

今回は、認定調査前に考えておきたいこと、介護家族ができることをまとめますので、参考にしてください。

【集中連載:要介護認定シリーズ】
認定調査の前に知っておきたい!「要介護認定」の仕組み

●認定調査で後悔しないポイントは「事前に準備する」「自分から伝える」
要介護認定の際に対象者の元にやってくる認定調査員は、市区町村の職員もしくは業務委託を受けた地域のケアマネジャーです。
誰が来るかを選ぶことはできず、おそらく初めて会う人である可能性が高いと思います。

丁寧に話を聞いてくれるタイプの人かもしれませんし、反対に事務的でとっつきにくいタイプの人かもしれません。
もちろん公平に見極めるスキルはすべての認定調査員がもっていますが、人間同士なので相性もありますよね。

どのような認定調査員が来るかわからないからこそ、きちんと準備しておくことが大切です。
質問されたことにだけ答えていたら、言いたいことを何も言えずに終わってしまった...ということも考えられます。
介護するご家族がどれほど大変でも、あいまいな言葉や雰囲気で介護の大変さを察してくれるわけではありません。どのようなことで苦労しているのか、具体的な言葉にして伝えることが必要です。

認定調査の時間は短いので、「これだけは伝えなければ!」ということは前もってリストアップし、メモにまとめておくことをおすすめします。
前回のコラムでも紹介しましたが、認定調査票は厚生労働省がインターネット上で公開していますので、どの質問で何を伝えるかをシミュレーションしておくと良いと思います。

認定調査員も聞き出す努力をしていますが、申請者側にも「伝える努力」が求められます。
受け身ではなく、主体的に立ち回ることが、認定調査で後悔しないコツです。


●「なぜこの要介護度が必要なのか?」を論理的に伝える
要介護認定の更新時に、「要介護度が軽くなってしまうかもしれない」ことを懸念される方は多いと思います。
使える介護サービスや支給限度額は要介護度によって変わるので、認定調査に立ち会う家族としても、訴える言葉に力が入る部分です。

その際、「この介護サービスが使えないと困る」「金銭的な負担をこれ以上増やせない」と、認定調査員に訴えるだけでは不十分。「なぜこの介護サービスが使えないと困るのか」を、筋道を立てて冷静に説明しましょう。

たとえば、「家族は仕事で不在にすることが多いが、デイケアでリハビリすることによって、日中を一人で過ごすための身体機能がなんとか維持できている。要支援2になると今の回数分、デイケアが利用できないので、今の生活を続けていくために要介護1は必要」といった具合です。

要介護認定の更新前に、現在利用している介護サービスが、どのようにご本人や生活に役立っているのかを、客観的に考えてみましょう。

特に優先順位が高い介護サービスはどれでしょうか。
その介護サービスを利用できなくなると、どんな影響があるでしょうか。

これらを整理したうえで、このサービスがこの回数必要だということと、その理由を認定調査員に伝えてみてください。
理屈にかなっていれば、介護者の意見として認定調査票の「特記事項」に反映してもらえる可能性もあるでしょう。


●「主治医の意見書」も介護家族の働きかけで変わる
要介護認定で必要な「主治医の意見書」は、誰に書いてもらうかが重要です。
二次判定の場である認定調査会において、「主治医の意見書」は重視されます。
認定結果への影響力が大きい書類だからこそ、ご本人をよく知っていて、ご家族にも親身になってくれるかかりつけ医に書いてもらうことが大切なのです。

「意見書」を書いてもらう前に、介護家族ができることがあります。
「今使っているサービスや今後使いたいと思っているサービスは何か」「家族はどのようなことで苦労しているのか」「なぜこの介護サービスがないと困るのか」を、医師にも伝えてみてください。
口頭で伝えるよりも、手紙やメモなど文字にしたほうが、医師も把握しやすいでしょう。

「家族の想いを書いたので、意見書を書くときの参考にしてください」と手渡せば、拒否されることはないはずです。総合病院など入院先の医師に意見書を書いてもらうのであれば、家族から手紙を渡せるかどうかソーシャルワーカーや看護師さんに相談してみると良いでしょう。

もちろん、手紙の内容すべてが意見書に反映されるとは限りません。
ただ、医師も意見書を書くにあたって情報が多いほうが助かるので、きっと目を通してくれますし、医学的な見地から必要だと思うことは意見書にも書いてくれるでしょう。

認定調査でご家族が言葉で伝えることも大切ですが、「主治医からの意見書」があればより強力。
要介護認定の判定が心配なら、ご家族としてできることは何でもやっておきましょう。

「何を、どう伝えれば良いかわからない」という方は、ケアマネジャーに相談してみてください。
どのポイントを推せば認めてもらいやすいか、どのようにアピールすれば良いか、一緒に考えてくれるはずです。

ケアマネジャーは、介護サービスなどの社会資源や地域の特性も含め、要介護認定のことをよく知っていますし、認定調査の経験があるケアマネジャーも少なくありません。
更新の時期が迫ってきたら、まずケアマネジャーと"作戦会議"をしてみてはいかがでしょうか。

次回は、要介護認定の結果にどうしても納得できないときの対処方法をまとめます。

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