家族会議が紛糾!在宅介護のもめごとを解決するには?

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家族会議が紛糾!在宅介護のもめごとを解決するには?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

介護を受ける本人にとって、何が最良なのかという視点で話し合うことが大切です。在宅介護では、今後のことやケアの方法など、方針を決めるにあたって家族の話し合いが紛糾することが珍しくありません。

私も職業柄、たくさんの介護家族と出会い、そのような場面をたくさん目にしてきました。
もともとは仲が良かった家族が、介護がはじまったとたん険悪になってしまうこともあります。

渦中にある方は、身体的な介護の大変さを上回るストレスを感じているのではないでしょうか。

介護の苦労は数えきれないほどたくさんありますが、家族同士でもめなくてはならないことは、何よりもつらいものだと思います。

家族会議で冷静に話し合い、皆が納得してひとつの方針に落ち着くには、どうしたらいいのでしょうか。
今回は、在宅介護における家族それぞれのモヤモヤした感情を整理して、より良い結論を導き出す方法を紹介します。

● あなただけではない!家族が在宅介護で険悪になるのはこんなとき
介護では、家族が話し合ってものごとを決めなくてはならない場面がなにかと多くなります。

自宅で介護をするのか、それとも施設に入るのか。
誰がどのように看るのか。
どの介護サービスを選ぶのか。
お金は誰が負担するのか。
など。

どれを選んでも間違いではなく、「正解」はひとつではないのが、介護の難しいところです。

介護をめぐって家族が諍(いさか)いすると、何が問題なのかもわからなくなってしまうことさえあります。
ケアや治療方針の問題なのか、介護の負担配分の問題なのか、それとも感情的な問題なのか。

もめごとの渦中にあるときは、課題や事情がたくさん表出するので、肝心なことが見えなくなり、何も決まらない、決まったとしてもモヤモヤした思いが残る...ということになりがちです。

身内でありながら相手の身勝手さに腹が立ったり、自分ばかりが割をくっているような気分になったりしたことはありませんか?
自分の中にあるドロドロした感情と向き合い、罪悪感を覚えることもあるかもしれません。

このような気持ちを抱えながら介護に関わるのは、とてもつらいものです。
けれども、ほとんどの人が大なり小なり一度は経験したことがあるのではないかと思います。

介護が原因で家族がもめたときは、「原点」に戻りましょう。
大切なのは、誰の言い分が正しいかではなく、どうすればご本人にとって最も良い選択をできるかです


● 介護をめぐる家族会議で冷静に話し合うためのコツ
何もないときは互いの立場を尊重しあえても、介護が関わるとさまざまな感情が入り乱れます。
ものごとの優先順位も異なれば、介護を受けるご本人への想いもそれぞれ。
長年の家族のしがらみや利害の相反など、複雑な感情がもつれ合い、互いの言い分がぶつかってしまうのです。

感情的な話し合いにしないために、3つのことを意識してみましょう。

■ 話し合う前に「目的」と「課題」を明確にする
話し合いの場を持つ理由を見失わないために、最初に「目的」と「課題」を家族間で共有しましょう。
たとえば、「退院後のケアプランをどうするかを決める」という目的だとします。

そこで問題になるのはどんなことでしょうか。
「昼食の時間に家族が家に居られない」「薬の種類が多くて管理が難しい」「持病の悪化が心配」など、課題が見つかるはずです。
「目的」とそれを達成するための「課題」を明確にしてから話し合うと、議論がぶれにくくなります。

■ 相手の言い分を否定しない
どのような言葉も、意見は意見として受け止めましょう。
たとえ間違っていると感じても、「それは違う」と口を挟まないようにしてください。
否定されれば傷つけられたと感じ、なんとか反撃しようとすることは珍しくありません。
「わかった。それはこういうことね?」と復唱するくらいのゆとりをもって対応すると、議論そのものが落ち着いて進行できる場合があります。

■ 「事実」と「想像したこと」を区別する
介護のための話し合いが紛糾するのは、介護の当事者である家族それぞれの想いがあるからです。
「事実」と「想い」を区別して発言しないと、冷静な話し合いはできません。

たとえば、「それじゃお母さんがみじめだ」というのは、お母さんが言った事実でしょうか、それとも自分の想いでしょうか。

発言する前は「これは事実かな?それとも私の想像かな?」と自問自答してみてください。

また、「普通はこうでしょ」「本来はこうすべき」などという言い方をしているときは、一般論という形をとりながら、なんとか相手を論破しようとしているときです。実は自分の強い思い込みを語っていることが往々にしてあります。
自分の発言だけではなく、相手に対しても「それは誰にとっての普通なの?」「それは誰が言ったことなの?」などと確認しながら、話を進めていくと効果的です。


● 在宅介護にも「ロジカルシンキング」を取り入れてみよう
ご紹介した話し合いのコツは、いずれも「ロジカルシンキング」の手法です。
ロジカルシンキングとは、事実をベースとしてものごとを整理し、論理的に結論を導き出す思考法のこと。
家族の話し合いなど議論が必要なときも、ロジカルシンキングの考え方が活用できます。
特に家族の問題、介護の問題については感情が先立ちやすいので、ロジカルシンキングを意識しておくと、無駄な諍(いさか)いを避けられるはずです。

もちろん自分だけ意識しても、家族の話し合いはうまくいきません。
当事者が冷静に話し合うためには、紙に書き出すことが効果的です。

(1)最初に話し合いの「目的」と「課題」を書き出す。
(2)それぞれの言い分を否定せず、意見として書き出していく。
(3)書き込む前に、「事実か」「想像か」を区別する。

この3つを踏まえてできあがったメモを見れば、誰もが要点を認識できます。
それを元に導き出した結論なら、一定の納得感も生じるはず。
モヤモヤを抱えながら仕方なく誰かに従うような、後味の悪い終わり方にはならないはずです。

次回は、さらに具体的なロジカルシンキングの手法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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