「もしかして認知症?」せん妄に慌てないために

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「もしかして認知症?」せん妄に慌てないために

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

せん妄には、きっかけがあります。原因を探し、解消すれば回復が見込めます。落ち着いて対応しましょう。在宅介護をしていると、いろいろなことがあるものです。
たとえば、突然つじつまの合わないことを言う、自分の居場所がわからなくなる...といった症状があらわれることがあります。
「もしかして認知症?」と介護家族を慌てさせるかもしれません。

ご高齢の方が突然こうした症状に見舞われた場合、認知症ではなく「せん妄」である可能性があります。

「せん妄」と「認知症」は、何が違うのでしょうか。
介護家族はどのように対応したら良いのでしょうか。

在宅介護で突然の出来事に慌てないために、せん妄について学びましょう。

● 「せん妄」はどのようなときに起こるのか
せん妄とは、環境の変化や身体の不調などが原因で、一時的な意識障害や認知機能の低下が起こるものです。

【せん妄の症状例】
・自分の居場所や時間がわからず、おかしな言動を繰り返す
・今の状況を説明しても理解せず、コミュニケーションが取れない
・イライラして暴言を吐いたり暴れたりする
・幻覚や妄想があらわれ不穏な状態になる
・夜中に眠れず、歩き回る
・無気力でぼんやりしている
・話しかけても反応が鈍い

せん妄のきっかけになりやすいのは、突然の入院や術後など生活や環境の急激な変化、安静を強いられるようなストレスがかかったケースです。
ほかにもショートステイや旅行など、普段と違う状況に混乱して「せん妄」の症状があらわれることもあります。
身近な人の死など、ショッキングな出来事によってせん妄が引き起こされることも。
便秘や脱水、睡眠不足、服用している薬などがせん妄の原因になることもあります。

● 「せん妄」と「認知症」の違いは?
時間や場所がわからなくなる見当識障害など、せん妄は認知症の症状に似ていますが、認知症の場合、「なんとなくおかしいな」という症状が徐々にあらわれます。
一方、せん妄の症状があらわれるのは突然です。「急におかしくなってしまった!」と慌てる介護家族が少なくありません。

せん妄には、必ずきっかけとなる引き金があるものです。
心あたりがある場合は、認知症よりもまずせん妄が疑われます。

認知症は発症のきっかけになる出来事が明確ではなく、「同じ話を繰り返すようになった」「ものをよくなくすようになった」など、日常のなかでちょっとした異変として気づかれることが多いようです。

せん妄は一時的な意識障害なので、症状は持続しません。
日中は普段通りなのに、夜に異変が起きるなど、一日のなかで症状に変動があります。
認知症は、せん妄のように変動しません。

せん妄の場合、きっかけとなった環境の変化や体調不良などの出来事が元に戻れば改善されますが、認知症はそうではありません。

私の家族も、先日入院した際に、まさにせん妄に見舞われました。
入院したその日はいつもと変わりませんでしたが、翌日になって自分が置かれた環境に目を向けて、混乱したのでしょう。
点滴を引き抜いたり、相手を誤解したまま話し続けたりと、せん妄の症状があらわれました。

医療や介護の現場をよく知っている私でも、家族の変わりようにショックを受けます。
「このまま治らなかったらどうしよう」と思うほどの混乱です。
心配な日々が続きましたが、退院するころにはすっかり元に戻りました。
本人も、せん妄の症状のことは覚えておりませんでした。

● 「せん妄」と正しく向き合ってケアしましょう
せん妄は、心身がつらい状態のときに、適応できないために引き起こされる脳の防御反応のようなものです。
負の状態に対処しきれず、オーバーヒートしているようなイメージが近いかもしれません。
会話も成り立たないくらいの興奮状態だったり、話しかけても無反応だったりと、症状のあらわれ方は人それぞれですが、放っておくとケガや身体の衰弱につながりかねません。

せん妄の場合、きっかけになった出来事が元に戻れば改善されます。
大事なことは、せん妄のきっかけとなった原因を取り除くこと。

入院して混乱しているなら、状況を整理して見当識の道筋をつけてあげましょう。
家で使っていたものを置いて、なじみのある環境に近い状態を整えてあげるのも良い方法です。

私は、家族にせん妄の症状が出た際、普段使っているカレンダーや時計、ラジオのほか、家族写真などを病室に持ち込みました。
耳が少し遠かったこともあり、集音器を購入して耳からの情報を増やしたこともせん妄の改善に良かったようです。

外部情報から状況を理解できるようになると、せん妄の症状は落ち着いていきます。

家族が頻繁に顔を出してあげることで、せん妄の症状が和らぐこともあるようです。
便秘や脱水など、身体の不調がきっかけになっている場合は、治療を行うことでせん妄の改善につながります。
せん妄が起きると、昼夜が逆転してしまうことがありますが、生活リズムを整えて、日中は身体を動かして、夜はぐっすり眠れるようにすることも大切です。

ご高齢者の介護では、いつ、どんなことがきっかけで、せん妄が起きるかはわかりません。
まずはかかりつけ医に相談するなどして、適切に対応することが肝心。
特に原因が身体の不調にある場合、医師と家族が協力してケアにあたることが不可欠です。

突然取り乱したような状態になったとしても、慌てないこと。
「せん妄」という一時的な意識障害があることを知っておくだけでも、役に立つはずです。

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