「幸せな在宅介護」のヒント 高齢の要介護者との関わり方と心構え

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「幸せな在宅介護」のヒント 高齢の要介護者との関わり方と心構え

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。「なんとかしてあげる」ことが介護ではありません。「幸せな介護生活」のためには、適切な距離感が大切です。

仕事と違って、在宅介護に休みはありません。 やらなくてはならないことが多いだけでなく、気が休まらないという方もいます。 昔のような生活ができなくなってしまった様子を間近で見ていると、「なんとかしてあげたい」「もっと充実した暮らしをさせてあげたい」とがんばりすぎてしまうこともあるかもしれませんね。

大切な親御さんやパートナーだからこそ、介護をがんばれるのだと思いますが、無理を重ねていたら、お互いにとって良い結果を生みません。 介護する方とされる方の両方にとって、ちょうど良いペース、ちょうど良い距離感を見つけることが、笑顔で在宅介護生活を続けていくコツです。

今回は、高齢の要介護者と関わるコツや、介護家族の心構えについてまとめます。 介護家族がなるべく明るい気持ちで過ごせるよう、「幸せな在宅介護」のヒントをできるだけたくさんお届けします。

● 介護者の「なんとかしてあげたい」という思いがストレスに?
ご高齢の方との関わりで大切なのは、「パターン・習慣・文化を変えない」ということ。 年齢を重ねるにつれて、どうしても新しいものに対する適応力は低下するものです。 良かれと思って新しく取り入れたことや変えたことが、ご本人にとってはストレスになってしまうことが少なくありません。

ご高齢の親御さんの暮らしぶりを見ていると、「効率が悪い」「危なっかしい」「衛生面が心配」などと思うこともあると思います。 けれども、そのことを非難したり、強引に変えようとしたりすることは、良いことではありません。

物ごとの考え方や価値観は人それぞれです。 「なんとかしてあげたい」と思ってやったことが、実は自分の価値観の押しつけになっていることもあります。 たとえ掃除が行き届いていなくても、温かくバランスの取れた食事が準備できていなくても、ご本人に不満がなく、命の危険がなければ、問題はないのではないでしょうか。

「いまのままのほうが幸せなのかもしれない」という考え方も、ひとつ心にとめておきましょう。

誰にでも、自分なりに培ってきたやり方、考え方があります。 それは、長い人生で経験してきたことに裏打ちされているものです。 できるだけご本人の「いままでどおり」を継続してあげること。

「なんとかしてあげる」ことが介護ではありません。 要介護状態にある親御さんでも、「自分とは違う考えを持ったひとりの個人」であることを忘れなければ、過剰に介入せず、適切な距離感を保って関わることができるのではないでしょうか。

● ひとつずつ、ゆっくりと。
複数のことを同時に手がけたり、考えたりすることがだんだん苦手になるのも、老化現象のひとつ。 昔はたくさんの用事を効率的にこなしていた方でも、うっかり忘れてしまうことや、うまくできないことも増えてくるものです。

けれども、手際よく家事をしていたお母さんの姿、理性的に話をしていたお父さんの姿が印象に残っていると、昔と同じようなつもりで接してしまいますよね。 ご本人もそのつもりでいることも多いので、忘れてしまったときや、できなかったときに、非常に落ち込むことがあります。 介護する方も「昔はこんなことなかったのに...」と悲しい気持ちになるかもしれません。

しかし、老いてできないことが増えていくのは、本人の努力では避けられないことです。 気にしていても、前には進めません。コミュニケーションの取り方を変えていくのが肝心です。

一度にたくさんのことを伝えるのではなく、ひとつ終わったら、次のことを伝えるようにしましょう。 話の内容はできるだけ要点をシンプルに。 わかっているように見えても、話についてきていないこともよくあることです。 「ここまでは大丈夫?」と確認しながら、話を進めるようにしてみてください。

相手の理解にあわせて、ゆっくりと物ごとを進めること。 慌てたり、急かしたりしても、うまくいきません。 お互いがストレスなく介護生活を続けていくためには、ペースにあわせる意識を持つことが大切です。

● 「老い」を受け入れると気持ちが楽になる
親御さんの介護をしている方は、「こんなはずではない」「衰えていく姿を見るのがつらい」と感じてしまうことがあると思います。 立派だった父が、母が、人の手を借りないと生活できなくなってしまった...と考えれば、介護生活はとても悲しいものになってしまいます。

しかし老いて忘れたり、できなくなったりすることは、不幸なことではありません。 あたりまえのことです。 親御さんの生きてきた人生に敬意を払い、受け入れる...という気持ちを持ってみてください。

その思いがあれば、穏やかに接することができると思います。 誰かと比べたり、昔と比べたりするのではなく、ありのままのいまを受け入れること。 心の持ち方ひとつで、自分たちだけの「幸せな在宅介護」のカタチを見つけることもできるはずです。

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