介護サービスに「何か違う」と感じたときの対応方法

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介護サービスに「何か違う」と感じたときの対応方法

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

必要とされる介護サービスであっても、本人が望むものとは限りません。在宅介護で、訪問介護サービスを利用されている方も多いと思います。
訪問介護サービスは、食事や入浴、排せつなどの身体介助のほか、掃除や洗濯、お料理などの生活支援、外出時の付き添いなどを行うものです。

必要なサポートは、人それぞれ異なります。
適切な訪問介護サービスを受けられれば、慣れ親しんだ自宅で自立した日常生活を送ることが可能になりますが、なんとなく納得できないことがあるなど、モヤモヤした思いを抱えている方もいらっしゃるようです。

そこで今回は、介護サービスとどのように付き合えば良いかというアドバイス。
訪問介護スタッフとのコミュニケーションのコツや、利用者側の心得などをお教えします。

● 要介護でも自分らしく暮らすには?
要介護者の方が自宅で自立した生活を送るには、訪問介護サービスが大きな助けになります。
ところが、提供されるサービスはケアマネジャーのケアプランに基づくため、ご本人の気持ちや真のニーズとマッチしていない...ということが時々あるようです。

たとえば、「ごはんはゆっくり、楽しみながら食べたい」と思っているのに、ヘルパーさんが訪問中に慌ただしく食事を済ませなければならないとしたら、その方らしく生活できていると言えるでしょうか。
「他人に肌を見られるのは恥ずかしい」と思っているのに、トイレ介助や入浴介助に配慮がなかったら、ご本人はとても苦痛だと思います。

たとえ介護が必要になっても、できるだけご本人の意思を尊重して生活できることが、自分らしく生きることであり、介護生活のあるべき姿だと私は考えています。

必要とされている介護でも、ご本人の気持ちに反するものなら、そのケアプランが正しいとは言い切れないはずです。
「人にやってもらって申し訳ない」「文句を言うことなんてできない」と考えてしまう方も少なくありませんが、不満を抱えたまま我慢していると、"自分らしさ"からどんどん遠ざかってしまいます。

人の手を借りるようになっても、生き方、暮らし方を自分の意志で選ぶことは大切です。
自分らしい暮らしを実現するためにどんな介助が必要なのかをまとめてみましょう。


● 介護生活の「真の課題」は何か?
介護サービスは、自立した生活を営むための「課題」を解決する目的で提供されています。
納得できないことがある場合、その方にとっての「課題」が取り違えられているのかもしれません。

要介護の人の「課題」というと寝たきりの度合いや日常動作といった身体機能上の問題に注目されがちですが、ご本人やご家族に話を伺っていると本当に困っていること、つまり「真の課題」はもっと根本にあることがわかります。

たとえば、トイレで排せつ介助をしてもらうことが何よりも恥ずかしく、苦痛だという方もいます。
食事の支度をするのが大変になって、決まった時間に食卓を整えられないことがつらい...という方もいます。
また、「杖をついて歩くところを人に見られたくない」という方もいれば、「好きなときに外出できないことが困る」という方もいます。
決して、動けなくなることやできなくなることが課題なのではなく、「恥ずかしくて苦痛なこと」、「主婦としての役割を果たせないことが寂しいこと」、「杖をつく姿をみられるのが悔しかったり、恥ずかしかったりすること」がその人にとっての課題なのです。

本当の課題は、身体の機能が低下したことで、自分の信念や価値観が侵されることであり、自分らしさを保つことができなくなることなのです。

今の介護サービスに不満や違和感があるなら、介護生活の「課題」を見つめ直してみましょう。
一番困っていること、あるいは「嫌だ」と感じていることは、何でしょうか。
「仕方がない」とあきらめていたことが、本当の意味での「真の課題」かもしれませんよ。

課題が明確になれば、サービス提供側の関わり方も変わります。
あきらめていたことでも、介護、医療、リハビリなど異なる専門家がチームとして連携することで、さまざまな解決策が見つかるものです。

我慢せず、言葉にして伝えることが大切だと思います。


● 「わかってもらう努力」も必要です
訪問介護サービスは、生活に一番近いところで在宅介護に関わっています。
ご本人の人となりや価値観がわからないまま介護にあたると、気分を害してしまうこともあるかもしれません。
反対に、「どんな人なのか」を知っていると、それを尊重した関わり方も可能になります。

「うちの母は大正生まれで、足首を見せるのも恥ずかしい人なのよ」とか「父はきちんと決まった時間に食事をしないと機嫌が悪くて...」など、ちょっとしたことで良いのです。

雑談がてら、ご本人の性格や考え方、大事にしている価値観などを訪問介護スタッフに伝えてみてください。
食事やお風呂などやってほしいことだけ伝えるよりも、配慮のある適切な介助を受けられるはずです。

私の経験から申し上げると、介護の愚痴でも悩みでも、お話しいただけることで関わり方のヒントになることがたくさんあります。「こういうことが嫌だった」とストレートに伝えていただければ、こちらとしても改善につなげやすいのです。

心を許して言いたいことを伝えられる関係をつくることが、良い介護サービスを受けるコツだと思います。
それでも納得がいかないことがある、不満があるという場合は、サービスの中止や変更を考えるのもひとつの手。

心からご本人やご家族の力になろうと思っている事業者やスタッフなら、どんな話でも受け止めてくれますし、ご本人のご苦労やご家族の大変さを少しでも軽減するために何ができるかを考えています。
何を話しても理解してくれない、受け止めてもらえないと感じるなら、一度立ち止まって考えてみましょう。
サービスを選ぶのも、中止するのも、利用者側の権利です。
ご本人が自分らしく暮らしていくために必要な介護サービスを上手に活用していきたいですね。

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