知らないうちにやってしまいがちな「不適切なケア」とは?

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知らないうちにやってしまいがちな「不適切なケア」とは?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

在宅介護は十人十色。「こうあるべき」という正解はありません。「不適切なケア」を知り、関わり方を見直すきっかけにしましょう。在宅介護は「十人十色」です。
介護の方法や関わり方は、ご家庭の事情や個々の都合で異なっていて当然。
「こうあるべき」という正解はありません。

どんな介護生活でも、ご本人とご家族がお互いに納得していれば問題ありませんが、うまくかみ合わないことも多いのが難しいところですね。

良かれと思ってしたことが受け入れてもらえなかったり、安全を守るため、あるいは様々な事情が許さず、強引に事を進めざるを得なかったりする場合もあるでしょう。
そのせいで、一時的に険悪な雰囲気や、いさかいになってしまうこともあるかもしれません。また、後から「言い過ぎたな」「やりすぎたな」と自責の念にかられることも少なくありません。
こうしたことは、決して珍しいことではなく、在宅介護のご家庭ではよくあります。

けれども「うまくかみ合わないこと」が当たり前になってしまうのは、ちょっと問題です。
「不適切なケア」と呼ばれる行為になってしまう場合もあるからです。

「不適切なケア」はとてもデリケートな問題ですので、今回は具体的にお話しましょう。

● 「不適切なケア」ってなに?
要介護状態の方は、少なからず自分のことを人の手に委ねるので、ご本人にはさまざまな葛藤があります。「申し訳ない」という思いからくる遠慮、自分の思い通りにならないことへの不満など、複雑な思いを抱えている方が多いようです。

配慮が不足した関わりは「不適切なケア」と呼ばれ、介護における問題のひとつとされています。
何気ないひと言や、必要だと思ってやった介助が「不適切なケア」にあたることがあるのです。

下記に例を挙げてみましょう。
・ご本人や嫌がっているのに、ポータブルトイレやおむつを使用した
・自分で食べられるのに、時間短縮のため食事の介助をした
・寝ているのに、起こしてお風呂に入れた
・薬を飲みたがらない要介護者の方のために、薬を砕いて食事に混ぜて服用させた
・急いでいたので、声かけをせずに急に車いすを動かした
・お部屋を片付けようと思い、ご本人のものを勝手に捨てた
・無駄遣いするので、ご本人のお金を使えないようにした
・転倒や転落を防ぐため、ベッドをサイドレールで囲った
・落ち着かないので鎮静剤を飲ませた


たとえ必要なケアであっても、ご本人が嫌がっていることや、心が傷つけられることなら、「不適切なケア」になってしまいます。


安全や健康を守るために仕方のないことも多々ありますし、すべて介護を受けるご本人の思い通りにはいきません。しかし、だからこそ、「ご本人はどう思っているのか?」という視点を常に持って介護にあたることが大切なのです。


● ちょっとした言葉が「不適切なケア」になることも!?
「不適切なケア」の問題は、日常で交わす会話にひそんでいることもあります。

・聞かれたことに対して「何度も言ったでしょう」などとそっけない返答をする
・相手が真剣に訴えたことに対して、軽口や冗談で返す
・呼ばれたが忙しいので一時的に無視をする
・「なぜできないの?」「いい加減にして!」など本人が萎縮するような言葉をぶつける
・「リハビリしないと寝たきりになるよ」などと不安をあおる言葉をかける
・認知症の方に「お母さん」と呼ばれて「お母さんじゃないよ」と否定する

在宅介護での会話はご本人との関係性によるところも大きいと思いますので、これらの例が一概に「不適切なケア」になるわけではありません。
なかには、毒舌や軽口を楽しむ関係もあるでしょう。

しかし、感情が先走った言葉や相手の立場や心情を思いやらない言葉は、できるだけ避けたいものです。これは、在宅介護にかかわらず、人間関係において常に考えなくてはならないことですね。

介護される方は、圧倒的に弱者の立場であることを忘れてはなりません。
健康な人が想像できない、複雑な思いを胸に秘めています。

ときどき立ち止まって、ご自身が発した言葉を振り返り、「もしかしたら相手を傷つけているかもしれないし、不安にさせているかもしれない」「追いつめているかもしれない」と考えてみることは必要だと思います。
要介護になって身体の自由が利かなくなっても、認知症になっても、その方が大切にしてきた思いやプライドは、失われないものなのです。
よく、「認知症だからわからない」という言葉も聞かれますが、決してそんなことはありません。

言葉には目に見える形がありませんが、ときには目に見えるものよりも重いということを、心の片隅に置いておきたいですね。


● 「本人の思いに寄り添ったケア」ができないこともある
ときには「不適切なケア」をせざるを得ない場合もあるのが、在宅介護の実情です。

時間には限りがありますので、本人が嫌がっていてもやらなくてはならないこともあります。
感情的になってつい言い過ぎてしてしまうことだって、あると思います。
またこちらに悪気がなくても、ご本人が悪い方に受け取ってしまうこともあります。

ご本人の心情を思いやり、寄り添ったケアをすることは大切です。
しかし、そのために介護するご家族が自分の気持ちや時間を犠牲にするのは、フェアではないと私は思います。

ときには割り切ることも必要ですし、介護される方が我慢することがあっても良いではありませんか。介護する方がまいってしまっては、在宅介護は成り立ちません。

介護する方、される方、どちらかに負担が偏った関係性は、いつか破綻してしまいます。
大事なのは、行きすぎないようにバランスを取ることです。

「不適切なケア」について知ることで、言い方を変えたり、事後フォローしたりすることもできるはずです。
「不適切なケア」をしてしまった、言い過ぎた、やり過ぎた、・・・なと悩んでいるご家族の皆さん、決して自分を責めないでくださいね。
介護される方にも「相手を許す」力は、まだまだ残されているはずです。
そうではない時、決して一人で思いを抱え込むことなく、どなたかに相談をしていただければと思います。

ご自身の関わり方を見直すきっかけになることを願っています。

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