ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > セキュリティは言葉だけで考えてはいけない 数式や図表を使うメリット
アキレスと亀のパラドックス
長い夏休みも終わり、9月に入りました。学校には子どもたちの元気な姿が戻っているころかと思います。皆さんはどのような夏休みを過ごされたでしょうか。筆者は、映画館でこの夏封切りの映画をいくつか見てきました。その際見た映画の中で、エピソードとして「アキレスと亀のパラドックス」が取り上げられていました。今回は、この「アキレスと亀のパラドックス」とセキュリティについて考えてみたいと思います
俊足アキレスでも亀に追いつけない?
アキレスと亀のパラドックスは、ギリシア哲学者ゼノンが考えたと言われる、先にいる鈍足の亀を瞬足のアキレスが追いかけて競走をする話です。亀は足が遅い分、ハンディをもらって、アキレスよりも先の地点(A地点)からスタートします。双方同時にスタートした後、アキレスが、亀のスタートしたA地点にたどり着いたとき、亀はその少し先のB地点にいます。アキレスがB地点にたどり着いた時は、亀はさらにその先のC地点にいます。
これを繰り返すと考えると、アキレスが、亀が過去にいた地点にたどり着いた時は、亀は常に、その先にいるということになります。ここから、アキレスは亀に絶対に追いつけないという結論に至るという話でした。
アキレスはやはり亀に追いつく
この話は、一見本当らしく聞こえます。しかし、この「アキレスと亀のパラドックス」が本当にそうならば、子どもたちを悩ます算数の「旅人算」は、問題として成り立たなくなります。
実際には、亀がもらったハンディ分の距離を、アキレスと亀の速さの差で割った値が、スタート後にアキレスが亀に追いつくまでの時間となり、その後はアキレスが亀を引き離して先に行くことになるというのが本当のところです。旅人算の解法ではこうですが、数学の手法で方程式を使っても同じ答にたどり着きます。
文章だけで理解することの限界
それでは、私たちはなぜ「アキレスと亀のパラドックス」を、一見本当らしく感じてしまうのでしょうか? それは、現象を「文章」、すなわち言葉で考えているからです。私たち人間の思考の多くは、言葉という道具を使って文章を組み立てることでなされます。しかし、言葉のみによる思考では、実世界に立ち現れる現象を表しきることが難しいことを、この「アキレスと亀のパラドックス」は示しています。
「アキレスと亀のパラドックス」は、図解や数式を使うと簡単に破ることが可能です。しかし、言葉によって組み立てた文章の説明だけで、これを論破することはなかなか難しいのです。
数式や図表で考えると世界は拡がる
現象を数によってとらえる考え方は、ゼノンと同じギリシア哲学者であり、直角三角形の「三平方の定理」で有名なピタゴラスの思想をベースにしていると言われています。ピタゴラスを祖とする、現象を数式というコトバで捉えるという考え方は、中世以降、現代に至るまでの科学技術の発展に大きく寄与しています。
人間の思考は、言語だけで考えているとどうしてもある限界にぶち当たります。言語に加え、数式や図表というコトバを使いこなすことによって、目の前に立ち現れている現象を、うまく説明し、それを使いこなすことができるようになるのです。
これは、セキュリティを考える上でも同様です。言語だけでなく、数式や図表などのコトバを使うことによって、考えることのできる範囲が大きく広がり、さまざまな可能性が出てきます。
「安全・安心」を実現する技術は勝たなければならない
セコムでも、言語に加えて数式や図表など、先人が生み出した考えるための道具を駆使して、「安全・安心」に関する技術の研究開発を行っています。「安全・安心」の分野では、それを実現する技術と、それを破る輩の間で競争がなされており、私たちは、「安全・安心」を破る輩に負けてはならないからです。
イソップ寓話では、足を止めてしまった俊足のウサギが、カメに追い越されてしまっていましたが、私たちはこのウサギになってはいけないのです。セコムが科学技術を重視する理由の一端がご理解いただけるのではないかと思います。
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