ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > その機械には、一般の機械油やスプレー式潤滑剤を使ってはいけない
現代人が毎日お世話になっている、ある機械とは?
現代人の多くは、ほぼ毎日ある機械のお世話になっています。一般に、その機械は、動力を持たず非常に地味な存在ですが、人間社会が正常に機能するうえで無くてはならない基盤となっています。
その機械は意外に思われる方も多いと思います。それは、「錠前」と呼ばれ、ドアについている機械部「錠(Lock)」と、その錠を施解錠するための持ち歩ける操作具、すなわち「鍵(Key)」とがセットになったものです。持ち歩く側が鍵(かぎ)、ドア側が錠(じょう)ですが、慣用的には、ドア側の機械部もよく「カギ」と呼ばれています。
錠は、精巧に作られた精密機械の一種であり、多くの場合、純粋に機械的な仕組みだけで、鍵穴に差し込まれた鍵が自らのペアとなる鍵かどうかを判断しています。普段生活するうえではあまり意識することはありませんが、錠は、まさに「機械そのもの」であり、他の精密機械と同様、その扱いには注意が必要です。
機械が正常に動き続けるにはメンテナンスが必要
最近はめっきり数が少なくなりましたが、精密機械の代表に機械式の時計があります。機械式時計は、数年に一度の分解掃除とよばれるメンテナンスを必要としていました。また、現代社会を支える機械の代表である自動車も、「車検」と呼ばれる制度で定期的な点検とメンテナンスが義務づけられています。
実は、時計や自動車などの機械と同様、機械である「錠」もメンテナンスを必要としています。メンテナンスがされていない錠は、やがて調子がおかしくなり、スムーズな施解錠ができなくなります。しかしながら、錠と呼ばれる機械は、その重要性、使用頻度の高さにもかかわらず、定期的にメンテナンスされることはあまり多くないようです。
注油厳禁!
鍵の抜き差しがスムーズにできなくなったり、回転が引っかかったりするようになると、多くの人は、鍵穴へ機械油やスプレー式の万能潤滑剤の注入を考えるかと思います。しかし、あまり知られてはいませんが、鍵穴にこれらのたぐいを使用することは「厳禁」とされています。錠内部の精密に作られた機械部品が油分で濡れ、ホコリなどが固着しやすくなり、新たなトラブル発生の元となるからです。
鍵穴に、機械油や潤滑剤を注入した当初は、一見調子がよくなるかもしれませんが、やがてそれが原因となって、ホコリが固着するようになると、それを取り除くのは困難になります。経験された方もいらっしゃるかもしれませんが、最悪、錠を壊して「錠前」全体を交換しなければならない事態にもなりかねません。
ホコリを取り除いた後、専用の潤滑剤の使用を!
錠(カギ)のメンテナンスは、一般の人ができる範囲では、まずは鍵穴に入り込んだホコリ類を取り除くことです。これは掃除機を使うことで簡単に実現できます。そのうえで、鍵穴専用に開発された、鍵や部品のすべりをよくするために作られた特殊な潤滑剤を使います。
この潤滑剤は、「カギの専門店」や、少し大きめのホームセンター、通販などで入手することができます。これの主成分は、錠内部の機械部品を濡らすことがない滑りをよくするパウダーで、ホコリを固着させることがありません。過去に誤って使用した油類を洗い流し、そのうえで潤滑パウダーを付着させるタイプのものもあるようなので、過去に機械油や万能潤滑剤などを使ったことのある人は、トラブルが出ないうちに探してみるのも良いかもしれません。
過去のコラムでも触れましたが、身の回りのさまざまなものを長持ちさせるためには、それに対するメンテナンスは欠かせません。それは、個人が日々の生活をつつがなく送るうえで、なくてはならないインフラである錠前(カギ)についても全く同様なのです。
(参考)
・安心豆知識「モノを大切に長く使うコツとは」
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |