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・普及が進む家庭用太陽光発電
近年、エネルギーのセキュリティが注目されることが多くなり、「再生可能エネルギーのさらなる促進を」という言葉を聞くことが多くなっています。このような社会背景も一因となって、個人で導入できる再生可能エネルギーの供給装置として「太陽光発電システム」の普及が急速に進んでいます。
行政も、太陽光発電システムの普及を後押しするために、補助金などのさまざまな施策をうっており、一般住宅の屋根に太陽光発電を行うソーラーパネルが乗っている光景を見るのが珍しくなくなりました。過去のコラムで、太陽光発電などの小規模発電装置が泥棒のターゲットになる可能性について触れたことがありますが、今回は「太陽光発電システム」そのもののリスクについて考えてみます。
・エネルギーの取り扱いにはリスクが伴う
現代社会ではエネルギーは欠くことのできないものの一つです。個人の生活環境にも、エネルギーは電力やガスなどさまざまな形で供給されています。このような形で供給されるエネルギーが、誤った扱いなどによって大きな事故につながるリスクをはらんでいることは、今さらいうまでもないことでしょう。漏電や、不適切なガスの扱いなどが、火災につながることがあるという事実は、多くの人が認識しています。
・太陽光発電の場合も同様
一方、普及が進んでいる太陽光発電システムにも、このことがそのまま当てはまるということを意識している人はあまり多くはないものと思います。太陽光発電システムの基幹部品は、太陽からの光エネルギーを電気エネルギーに変換するソーラーパネルです。このソーラーパネルが、光エネルギーを電気という形態のエネルギーに変換するのが太陽光発電システムの基本的な働きです。この働きはソーラーパネルを作っている材料の基本的な性質によって行われているため、その機能をオフにすることはできず、光があたると自動的に電気が出力されてしまいます。私たちは、この電気エネルギーが、漏電などの事故により予期しない形で熱に変わると、そこから火災が発生する可能性があるということに注意しなければなりません。太陽光発電システムの導入にあたっては、このようなリスクがあることを認識し、十分に気をつけなければならないということです。
ソーラーパネルから出力される電気は、相当高い電圧の「直流」です。一方、家電製品の必要とする電力は、電力会社が供給している100ボルトの「交流」です。そのため、ソーラーパネルと家庭用電力ラインの間には、「コンディショナー」と呼ばれる装置を置き、直流と交流の変換、および電圧のコントロールを行わなければなりません。このコンディショナーは大きなエネルギーを変換する装置であるため、定期的に点検する必要があります。また、家庭で扱う規模の電力レベルにおいては、直流の方が交流よりもその扱いが難しく、事故のリスクも高くなるためその注意も必要です。
・消火の際のリスク
一般の火災の場合、そこに駆けつけた消防隊は、ホースから連続的に放水を行って、その火を消しにかかります。しかし、そこに太陽光発電システムがあった場合、消防隊が駆けつけても、連続的な放水による消火ができない可能性があります。太陽光パネルで発電された高圧の電流が、水を伝わって流れ、放水している消防士が感電する二次災害のリスクがあるからです。
・あらゆるプラントは必ずメンテナンスを受けている
家庭用の太陽光発電システムは、小規模といえども、家庭で使うのに十分な電気エネルギーを供給する立派な「発電所(プラント)」です。電力会社の発電所、工場など、産業の要をなす大規模なプラントでは、定期的なメンテナンスが必ず行われ、その機能を維持すると共に、事故が起こらないような対策がなされています。
・太陽光発電で、必ず実施しなければならないこと
自宅に、太陽光発電システムなどを設置した人は、このことを忘れず、必ず定期点検を行うようにして下さい。大きなエネルギーを扱うということには、それ相応のリスクを伴うため、常に気をつける必要があります。太陽光発電システムは、一般の家電製品の延長ではありません。あらゆるプラントがそうであるように、メンテナンスに無頓着ではいけないのです。
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