ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 義理チョコとお返し 「愛の誓いの日」を変えた存在
・もともとは「愛の誓いの日」
今週土曜日2月14日はバレンタインデー。発祥については、諸説ありますが、ローマ帝国時代に殉教したキリスト教の聖人バレンタインにちなみ、名を殉教の日に冠したのが始まりのようです。バレンタインデーは(日本では意味合いが変わってしまった感もありますが)、男女間の「愛の誓いの日」として知られています。男女の仲を取り持っていたことが罪に問われ、殉教した聖人にちなんで発足した記念日だからです。
・日本では「チョコレートの日」に変化
日本では、最初、この日は女性から意中の男性に愛情を告白する日として認知され、それがやがて女性から(本命)男性に「チョコレートを贈る日」に変化。これに加える形で、いつの間にか、友人知人や同僚の男性にもチョコを贈る「義理チョコ」なるものが現れ、さらに一カ月後のお返しの日「ホワイトデー」が考案されるなど、世界とは異なる形で、ガラパゴス的にその形態が変遷してきています。
・義理チョコやホワイトデーが生まれた理由
日本において「義理チョコ」や「ホワイトデー」の風習が生まれたのには理由があります。過去のコラムでも紹介したことがある、日本特有の「世間」の存在です。世間の代表的なモノとしては、職場、隣近所、趣味の集まり、同窓会、子どもの学校の親の集まりなどがあげられます。
世間視点から社会や人々の行動を読み解く学術分野は「世間学」と呼ばれます。世間学では、人々は、世間というコトバで表される「人と人との関係」からさまざまな影響を受けるとされます。
世間では、人と人との関係を円滑にし、その誼(よしみ)を持続させようとする人々の思いが、相互に「贈り物」をし合うという形で姿を現わし、さらにそこには「何かを贈られた場合は、速やかにお返しする」という鉄則的な強い縛りがあるとされます。これは世間の代表的な特質であり、「贈与・互酬(ごしゅう)」と呼ばれます。
「贈与・互酬」という特質を持つ世間の観点に立つと、「日本のバレンタインデー」に義理チョコ、そして返礼の日であるホワイトデーが現れたのは不思議なことではありません。
・それは「形ある物」に限らない
バレンタインデーに義理チョコやホワイトデーなどの形で姿を現す「世間における『贈与・互酬』の慣行」の対象は、チョコレートなどの形ある物である必要はありません。世間では、ちょっとした近隣への気配りなども贈与・互酬の対象になり、贈られた側に「お返しの気持ち」が生じます。人と人との関係を円滑にし、その誼を持続させようする思いが、贈与・互酬の慣行が生まれた大本ですから、対象が「形ある物」に限られないのは当然のことです。
世間学では、好むと好まざるとにかかわらず、日本人は全員が何らかの形で世間に属していると言われます。いずれにしろ、世間に属さざるを得ないのであれば、そのメリットを大いに使わない手はありません。世間では、「気配り」などについても、まずは自分から贈ることでその「お返し」が期待できるのです。
・「愛の誓いの日」を変えた存在は、日々の安全・安心にも関わる
本コラムでは「泥棒が一番忌避するものに『周囲の目』がある」ことについて何回も触れています。この「周囲の目」の強化に、近隣への気配りに対する贈与・互酬がかかわるのは言うまでもありません。また、世間における贈与互酬が、防災における「自助・共助・公助」の共助にも深く関わってくるということになります。
世間の基本は「持ちつ持たれつ」、「お互いさま」にあります。日本において「愛の誓いの日」を変えた存在である世間の慣行が、人々の日々の生活における安全・安心にも深く関わってくることがお分かりいただけるのではないかと思います。
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