ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 地域の防犯パトロールを一歩進めるためには?
・悪いことをするのに必要なこと?
過去のコラムで「悪いことをするには(自分自身への)言い訳が必要」であり、そのため言い訳を許さないようにすることが防犯対策となることについて紹介したことがあります。人は本当の悪人にはなかなかなりきることができず、泥棒という「悪事」を働くには、自らのなかにある「良心」を押さえつけるための、何らかの言い訳を必要とするというものでした。
個人宅への泥棒の侵入手口の1位は「無施錠」、カギがかかっていない所から侵入する手口です。「無施錠」は、泥棒にとっては、扉や窓を破るという手間がかからないだけでなく、「カギをかけていない方が悪いのだ」、「無防備である方が悪いのだ」という(自分自身への)言い訳がしやすく、良心をごまかしやすいのです。これが、無施錠が侵入手口の1位になった理由の一つであると考えられます。
・なぜ小さな乱れが大きな犯罪の元となるのか?
割れ窓理論(Broken Windows Theory)という、犯罪学の分野で有名な考え方があります。「落書きやゴミなどの小さな乱れを放置することが、大きな犯罪を呼び起こす」というものです。ニューヨーク市などでは、この理論を応用して、落書きやゴミの不法投棄などの小さな犯罪にきちんと対応することで、強盗や殺人などの大きな犯罪を減らすことに成功したと言われています。
割れ窓理論、またそれを応用した防犯テクニックは、対象に「既に汚れがある」場合、人は良心の呵責をあまり感じずに、そこに別の汚れをつけることができるのに対し、対象が「美しく完全な状態」にある場合には、最初の汚れをつけるのは、良心がとがめてなかなかやりにくいから、と理解することができます。
日本においても、この防犯理論によって治安を改善する試みは多数なされ、成功事例も多く報告されています。自治体全体で、割れ窓(ブロークン・ウィンドウズ)の逆を実現するという意味で、「ビューティフル・ウィンドウズ運動」と称して「美しく安全なまち」を実現する活動をしている例もあります。
・地域の防犯パトロールを進化させるために
地域の防犯パトロールをしている町内会や自治会は多くありますが、残念ながら単なる「夜の散歩」になってしまっている例も少なくないようです。何に注意を払うべきかについてあまり意識せずに行われていることが、理由の一つではないかと思います。
きれいに保たれた環境には、人の心の中にある「良心」に働きかけて、悪事を防ぐ効果が期待できます。地域の防犯パトロールでは、「落書き」や「ゴミの不法投棄」、「放置看板」などの小さな乱れを発見するように心がけ、それをみつけた場合には、その土地の所有者などの直接関係者に一任するのではなく、地域の力でそれを解消するように心がけてみてはどうでしょうか。
地域の小さな乱れにいち早く対応し、きれいな状態を保つことは、気持ちが良いだけでなく、防犯のためにも有効に作用することを、あらためて意識していただきたいなと思います。
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