ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 開国! キャッシュガラパゴス
早いもので今年も7月、関東甲信越では史上最速で、すでに梅雨明けとなっています。いよいよ夏本番の時節となり、夏休みを心待ちにしている子ども達も多いことでしょう。世界的には、夏休みシーズンのピークは7月であり、実際、来日外国人が一番多いのも今の時季です。
・来日外国人観光客が注意しなければならないこと
世界の中で、日本は今や人気の旅行先のようです。そのため、街中で外国人観光客の姿を見ることは全く珍しくなくなりました。
その日本を訪れた外国人観光客が驚くものの一つに「現金決済」の多さがあります。最近は、日本でもクレジットカードや電子マネーなどを使って支払えることは多くなりましたが、少額の買い物やランチなどでは、依然として現金での支払いを求められることは少なくありません。外国で発刊されている日本の観光ガイドには、日本は現金しか受け付けない店舗が多くあるので、注意が必要との記載があるそうです。
・既にキャッシュレスが当たり前になっている業界
一方、日本においても、世の中の流れに一歩先んじる形で、たとえどんなに少額でも現金を扱わないことが当たり前になっている業界があります。学習支援業、すなわち塾の業界です。塾の教室にやって来るのは子どもたち、また一つひとつの教室は、少人数のスタッフで運営されることも少なくありません。その状態で、現金のやり取りをすると、受け取った現金を集計し、金融機関に入金するなどのハンドリングコストがかかるだけでなく、紛失や盗難などのリスクが発生します。そのため、多くの塾において、金額によらず、銀行引き落としやクレジットカード、コンビニ代行などのキャッシュレスの形で、月謝や教材費の決済がなされています。
・現金では買い物ができない?
このように、日本においても一部の業界では、現金のハンドリングに関するコストやリスクを考えるのは当たり前になっています。世界的に見た場合、業界によらず、これは常識となっており、北欧などでは、どんなに少額であってもクレジットカードを使えるのは当たり前で、逆に、現金の受け取りを拒否できる法律が作られて、現金では支払いができない店舗も増えてきているとのことです。キャッシュレスが進む国々では、教会等への献金までもがクレジットカードで行えるようになっています。このように世界のトレンドはキャッシュレスの方向に動いているのです。
現金決済がごくあたり前に行われているガラパゴス状態の日本も、この潮流に無頓着ではいられなくなるのは間違いありません。日本でも、東京の神社の賽銭箱に電子マネーのカードリーダーが据えられて話題になりましたが、遅かれ早かれ、やがてどこの神社仏閣も、このような形でキャッシュレスのお賽銭を受け付けるようになることでしょう。
・キャッシュレスでも「お金」は狙われる
現金をハンドリングするコストの削減、現金の紛失や盗難などのリスクの低減など、多くのメリットが期待出来るキャッシュレス決済ですが、一方、それに伴う新しいリスクも首をもたげて来ています。過去のコラムで、「中にお金を入れる入れ物は、泥棒にとって恰好のターゲットとなりえることから場所や性格によらず、『守り』に気をつける必要がある」旨を書いたことがあります。これはその「お金」が、「現金」から実体をもたない「情報」に変わってもそのまま当てはまります。
キャッシュレス時代の犯罪者は、ネット越しに情報としての「お金」を狙ってきます。実際、今年の初めに、多額の仮想通貨がネット経由で盗まれたというニュースがありましたが、世の中のキャッシュレス化進展に伴い、この手の犯罪が珍しくなくなるということです。
日本では、日々の買い物にまだまだ現金が使われていますが、グローバル化が進むにつれ、好むと好まざるとにかかわらず、世の中のキャッシュレス化、いわば"キャッシュガラパゴス"の開国はどんどん進んでいくことでしょう。私たちが日々の生活のセキュリティ対策を考える場合も、家などの物理的な実空間だけでなく、キャッシュレス決済の「お金」が蓄えられたり、動いたりする仮想空間、すなわちネットのセキュリティを考慮することも大切になってくるのです。
【関連情報 pick up!】
安心豆知識 現金を扱わないという防犯手法
安心豆知識 お賽銭をピッ?
安心豆知識 「情報と化したお金」に注意
安心豆知識 ネット泥棒から自分の財産を守る 便利とリスクは常に裏腹
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |