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あけましておめでとうございます。本年も「安心豆知識」をよろしくお願いいたします。
・お賽銭泥棒
年始めに、神社仏閣などに初詣に行かれた方も多いかと思います。初詣に限らず、神社仏閣にお参りをする際、私たちはお賽銭を投じます。これを狙う賽銭泥棒は、昔からある古典的な泥棒の手口であり、これにやられたことない神社仏閣は少ないのではないかと思います。現金は泥棒にとって一番盗りたいターゲットです。お賽銭も、現金に他ならないため例外ではありません。
・現金が狙われる理由
現金は、たとえ期せずして使われたり、紛失したりしたとしても、その動きを追うことはできません。トレーサビリティが確保されていないのです。そのため、盗まれた現金は、追跡することができず行方知れずとなります。物品などと異なり、盗んだ対象そのものから足がつくことがない「現金」は、泥棒にとっては盗んだ後のリスクが少ない魅力的なターゲットなのです。また、何もしなくてもそのまま使うことができるため、換金時に足がつくこともありません。
現金のあるところに泥棒が出没する理由です。過去のコラムで、賃金の支払いを現金から口座振込にしたことが、一般の事業所を狙う泥棒の減少に大きく貢献したことについて紹介したことがあります。泥棒の多くは「現金がそこにあること」が大きな要因になって行われます。そのため、「現金の存在」を物理的になくすことができれば、泥棒を相当の割合で下げることができるのです。
・キャッシュレスでお賽銭?
昨今の電子マネーの普及にともなって「電子マネーでお賽銭を」という神社が現れてきています。すべてのお賽銭を電子マネーにすることができたとすると、それを狙う泥棒は激減することでしょう。また、神社側でも、お賽銭を集め分別して数えるなどの、多くの手間が削減できるのは、一般の事業所の場合と変わりません。お賽銭の電子マネー化、キャッシュレス化は、それを受け取る側の神社仏閣にとって多くのメリットがあることは間違いありません。
一方、お賽銭のキャッシュレス化については、インターネット上にも「それで御利益があるのか」といった感想が散見されます。神社仏閣に対して、神仏への「捧げ物」の代わりに奉納する金銭がお賽銭のルーツです。そのため、お賽銭には、捧げ物の象徴として「何らかの形あるモノ」、すなわち現金であることが求められるのでしょう。現代社会の「情報と化したお金」を、コインや紙幣などの実体のない形で納める「キャッシュレスお賽銭」は、今の世においても、まだまだ日本人のメンタリティになかなか合いにくいのではないかと思います。
・日本人は現金に「何か」を感じる
「キャッシュレスのみ。現金支払いお断り」の店舗が現れた米国などと比べ、日本では、食料品などの日々の買い物などでは、現金のやり取りが普通に行われています。「現金支払いのみ」の店舗もまだたくさんあります。
キャッシュレスで電車の改札を通ったり、売店でモノを買ったりしている同じ人間が、神社仏閣の賽銭箱があるべきところに電子マネーリーダーを見たときに感じる「なんか違う」という感覚、これこそが、日本において(欧米と比して)「現金がなくならない」理由なのではないかと思います。
日本におけるキャッシュレス普及に対するバリアの一つに、日本人の一人ひとりが、心のどこかで「現金」に「経済活動における交換の媒体」を超える「何か」があると感じていることがあるのは間違いのないところかと思います。
・それでもキャッシュレスは進み、犯罪の傾向は変わる
日本人の誰もが、初詣のお賽銭を「電子マネーでピッ!」という世界は、まだまだこれからかも知れません。一方、世界的に見た場合、管理の利便性などから好むと好まざるとにかかわらずお金の情報化はどんどん進み、キャッシュレスの支払いが当たり前となっていくことでしょう。
世の中の「現金」が少なくなると、それを狙う泥棒は必然的に少なくなります。代わりに増えるのが「情報化したお金」を狙う、詐欺や情報犯罪の類です。「振り込め詐欺」や「ネット越しの不正送金」などの犯罪が増えているのは理由があります。現代に生きる、私たちはそのことを頭に置き、これらの犯罪に対しても十分に注意していく必要があるのです。
本コラムでは、今年も「色々」な「安心豆知識」を提供していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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