ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 古(いにしえ)の時代から行われている火災対策
残暑お見舞い申し上げます。
今年も8月半ばとなり、お盆の季節となりました。日本の夏は、一般に高温多湿であるため、火災のリスクは必ずしもこの時季に特に高くなるわけではありませんが、諸外国では、気温が上がる夏は、空気の乾燥が進み、火災が多く発生する季節としても知られています。つい先日の7月下旬も、猛暑が続くギリシャや米国カリフォルニア州で大規模な森林火災があり、多くの被害が報告されています。
今回は、古(いにしえ)の時代に起こった火災から、火災対策について考えてみたいと思います。
・世界三大大火の共通点
「世界三大大火」と呼ばれる、西暦64年の「ローマ大火」、1666年の「ロンドン大火」は、いずれもヨーロッパの乾燥が進む夏に起き、当時多かった木造の建物に燃え広がる形で大火災に至っています。三大大火のもう一つ、1657年、江戸時代の日本で起きた「明暦の大火」も、関東平野の乾燥が進む季節に起き、木造の建物が多かった江戸の街を焼き尽くす大惨事になったのです。
火が存在する状態、すなわち「燃焼」が存続するためには、「燃えるモノ」、「酸素の供給」、「熱源(点火源)」の3つの要素が必要です。乾燥が進むと、木材がより燃えやすくなり、家などの一般の建物が「燃えるモノ」となりやすいのです。
・「燃えるモノを置かない」対策
ローマやロンドンは、大火に見舞われた後、石やレンガ、コンクリートなどで建物を建てるようになり「燃えるモノ」が無いようにする火災対策が進みました。
一方、地震の多い日本では、ゆれに弱い石やレンガ、コンクリートブロックなどを積んだ建物を作ることは難しく、代わりに大名屋敷、武家屋敷、寺社などを移動させたほか、人々を郊外に移住させて、延焼をくい止めるための空き地(火除地)や、幅広い道「広小路」を設けるなどの対策がとられました。これもまた、「燃えるモノ」が無いようにする対策です。エンジンなどが発明される前の時代、効率的に水をかける動力付ポンプなどはまだ存在せず、火災対策といえば、燃えるモノを無くする対応しかなかったのでしょう。
・火災の要件にあった古からの対策
火災について、消防庁では「(1)人の意思に反して発生(放火も含む)、 (2)消火の必要がある燃焼現象、(3)消火施設の利用が必要、の3つが全て成り立つ燃焼現象」と定義しています。
また、損害保険においては、「『場所または時間に偶発性』があり、『火勢が自力で拡大する』もの」とされています。
「人の意に反する」「場所、時間の偶発性」「火勢の自力拡大」「消火の必要性」の要件が揃えば、それは火の大小にかかわらず、火災と呼べるものになります。
言い換えると、火を扱う際には、これらの要件が揃わないようにしなければならないということです。周りに燃えるモノがない場合、自力で拡大する火はありえません。古の人々がとった「燃えるモノ」を無くする対策は、火災を起こさないようにする対策として、今の世も十分に有効なのです。
・「火災対策」は、日本の夏を感じさせる風物詩の舞台裏でも必須
今週木曜日、8月16日には、日本の夏を代表する風物詩である「京の五山送り火」が行われます。古都を囲む漆黒の山に、火で描かれた「大」の字が揺らめいている姿が浮かび上がる日本情緒を感じさせるこの風景も、その舞台裏では、前もって火を焚く周りの雑草や雑木を伐採しておくなどの、「燃えるモノ」を無いようにする対策がなされ、加えて徹底した火の管理が行われて、火災が起きないようにしています。
今年は特に暑さが厳しく、フェーン現象によって乾燥した熱風がもたらされるという天気予報も、良く耳にします。この季節、日本では、お盆の迎え火や送り火、そしてバーベキューや子ども達の花火、キャンプファイヤーなど、外で火を扱うイベントがよく行われる時季とも重なっています。屋外で火を扱う際には、周りに燃えるモノを置かないなど、火災には十分に気をつけるようにして下さい。
参考情報
安心豆知識 火とその消火法を科学する
安心豆知識 大火に学んだ防火対策
安心豆知識 日本史上最大の大火災があった日
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |