ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 間接情報としての「見える」、「見せる」防犯対策
・泥棒の意志決定を左右する「見える防犯対策」
前回のコラムで、受験におけるさまざまな「縁起(ゲン)担ぎ」を例に、私たち日本人の生活が相当レベルまで「言霊(ことだま)」の影響を受けていることについて紹介しました。「見える防犯対策」が、コトバ(何らかの意味を表すモノ)として泥棒の心根に働きかけ、行動にも影響を与えていることについてお分かりいただけたのではないかと思います。
一方、この「見える防犯対策」が効くのは、それがコトバとして働くことで、言霊の影響が大きい日本文化の思考パターンにある(すなわち日本人の)泥棒の意志決定を左右するからだけではありません。「見える防犯対策」は、日本文化の影響を受けていない外国人の泥棒に対しても有効に機能し、その意志決定に影響を与えます。
・人の意志決定に、より影響を及ぼす情報とは?
心理学では、噂話などの形で第三者を介した間接情報のほうが、直接その情報を伝えられるよりも、情報の受け手に与える影響が大きいことが知られています。これは「ウィンザー効果」と呼ばれ、マーケティングの分野でも効果がある手法として良く使われています。
商品を使った好意的な感想などを「お客様の声」の形で紹介している宣伝や広告がその一例です。また、今では、多くの人々が、インターネット上にある商品に関する情報を参考に買い物を行なっています。ネット上の口コミ掲示板やレビュー記事、実際に使った人間のブログなどに書かれた情報を参考に買い物を行う消費行動は、買い物の際の意志決定に、ウィンザー効果が大きく関わる事例と言えます。
人は、商品を提供している企業や販売店から直接的に伝えられる情報よりも、その商品を実際に使った消費者からの間接情報の方により影響を受けるということです。
商品を使った消費者から発信される情報は、商品を提供している側からの情報と比較して、受け取った側に「想像の余地」を残します。ウィンザー効果は、この「想像の余地」の大きさが、人々に影響を及ぼすものだと理解されています。
「見える形の防犯対策」を目にすることで、泥棒は、そこの住人の「防犯への意志」を感じます。「見える形の防犯対策」は、それ自身が効くだけでなく、泥棒に「住人のメッセージ」を間接的に伝える働きをする広報媒体(メッセンジャー)としての意味合いを持つということです。
・泥棒に対する逆マーケティング
そのメッセンジャーから「泥棒に対する住人の意志」を感じた泥棒は、「今目にしているもの以外のまだ目に見ぬ防犯対策」や「後々面倒なことになる」というところに思いをはせ、「わざわざそこに入らなくても」と考えることが少なく無いということです。これは、「見える形の防犯対策」を媒体として使った「逆マーケティング」とも言えます。
過去のコラムで「セキュリティスタッフの第一印象」というテーマで、セキュリティスタッフの立ち振る舞いが、周りに働きかけ、その場所のセキュリティに影響を与えることについて紹介したことがありますが、これも「見える形の防犯対策」の一種として、泥棒の想像力に働きかけるからという理解が可能です。
間接情報によって泥棒の想像力に働きかけ、犯行をあきらめるという意志決定をさせるために、「見える」、「見せる」セキュリティ対策が効いてくることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
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