ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 「お金の重み」の体感をぜひ子ども達に
・「頭で理解する」それとも「腹で感じる」?
これまで2回のコラムで、キャッシュレスの歴史、現金が持つ「一種の力」について紹介してきました。今回は、キャッシュレス社会の進展に伴い、人が身につけるべき能力について考えてみたいと思います。
キャッシュレスの買い物では、モノの対価として手持ちの現金が減ることはなく、口座残高という数字が少なくなるだけです。実際の現金が減る場合と、印字された数字が減る場合では、後者の方が現実感が乏しいのは間違いありません。これは、「お金の減り具合」を、「頭で理解するのか」、それとも「腹で感じるのか」の違いであり、「現金」という物質が物理的に動かないところから発生するものです。
・これからを生きる子どもにこそ必要な感覚
この「現実感の欠落」は、無意識のうちに私たちの購買行動に影響を及ぼします。特に、子どもの場合、キャッシュレスの買い物の際には注意が必要なのではないかと思います。大人の場合、これまでの沢山の経験から、口座残高の数字の減り具合と実際のお金の減り具合の間で大体のリンクができていることが多いのに対し、社会経験の少ない子どもの場合、「数字」と「実際のお金」をリンクさせる感覚が身についていないことが多いからです。
今後の日本社会では「キャッシュレス化」がますます進むのは間違いありません。これからは意識して機会を作り、子どもに対して「お金の重み」を感じる体験をさせる必要があるのではないかと思います。「金額という数字」と「実際のお金」をリンクさせる感覚を育むためです。この感覚は、これからのキャッシュレス社会を生きる人間にとっては不可欠なものとなります。
・「現金」で自分の学費を払うという体験
筆者は、子どもが新しい学校に進学するタイミングが、「金額という数字とお金の実体を直感的に感じる能力」を身につけさせる、非常に良い教育の機会になるのではと考えています。
子どもが学校に入る際、少なくない金額であろうその学費を子どもに「現金」で手渡して、それを子ども自身に窓口で支払わせるのです。盗まれるリスクがあるため、子どもと共に支払い窓口まで行って、窓口で支払う直前に子どもに「お金」を手渡します。しかし、その「支払い行為」自体は、「現金の重み」を感じるように、子ども自身の手で直接行わせるようにします。
この一連の体験は、子どもにとって「お金の重み」を腹で感じるための貴重な機会になるはずです。子どもが、学費を出してくれる親への感謝の念を持つきっかけにもなることでしょう。もしかすると、その子が、学校に入学した後の勉強への姿勢を左右する体験にもなるかも知れません。
・「お金の重み」感覚を子ども達に
「キャッシュレス」には、現金を扱うリスクとコストの削減という社会的に大きなメリットがあります。一方で、これには、お金に関する人々の感覚をマヒさせるという側面があることは否定できません。子どもの場合には、特にそれが言えるかと思います。
8月もあと1週、子どもの社会科教育の一環として、「お金の重さ」を実感体験し、お金の感覚を身につけることができる見学コースを用意している金融機関もあるので、自由研究の一環として、子ども達が夏休みのこの時期を利用して訪ねてみるのも良いかもしれません。
また、このような擬似体験に留まらず、実生活においても意識して機会を作り、子どもに「お金の重み」を感じる体験をさせる必要があるのではないかと思います。実際の体験によって身につけたお金に対する感覚は、これからの世の中を生きなければならない子ども達にとって、間違いなく貴重な財産になるに違いないからです。
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