ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 復興のみならず防災をも象徴する五輪を
暦の関係で遅ればせながらになりますが、東京への五輪誘致成功を一日本人として喜びたいと思います。日本で五輪が開かれるのは、夏季大会としては56年ぶり、冬季を含めても長野から22年ぶりです。関係者の皆さんの長年の努力が実った結果かと思います。
前回の東京五輪では
五輪開催は、前回の東京大会では、新幹線や首都高速道路などの各種インフラが開発されるきっかけとなったり、競技を見るために当時まだ普及途上だったテレビが売れるなど、日本経済が大きく飛躍するジャンピングボードとなりました。五輪開催が、セキュリティ産業に及ぼした影響も無視できません。代々木に作られた選手村の警備をセコム(当時の社名は「日本警備保障」)が担当したことが、社会における民間警備業の認知度を上げました。そして、当時、企業などの組織において当たり前のこととして行われていた従業員による宿直当番制の代わりに、プロフェッショナルなセキュリティサービスを導入することが行われ始めました。
オペレーションを守るのがセキュリティ
本コラムでは何回も触れていますが、筆者は、広い意味でのセキュリティを「あるオペレーションが、あらかじめ定めたプラン通りに進み、理由によらず、それが妨げられないこと」と考えています。この場合、セキュリティ対策によって、最終的に守らなければならないモノとは「その組織のオペレーション」です。そして、オペレーションを回すためには、さまざまなリソースが必要となり、それだからこそ、そのリソースを、それに影響を与える脅威から守らなければならなくなるのです。
世界有数の災害リスクを抱えた都市
今回の誘致成功は、都市の安定度が高いことが決め手となったと聞いています。確かに東京の治安は、世界の他の主要都市と比較しても格段に良く、また財政面も安定していることに間違いはありません。
しかし、同時に、東京は世界に名だたる災害リスクを抱えた都市でもあります。東京は、犯罪や経済的リスクなどに目を向けた場合、非常に安定している一方、地震や風水害という災害リスクを考えた場合、決して安定しているとは言えないのです。これは、次回大会の開催都市であるリオデジャネイロ、そして今回、誘致のライバルだったマドリードやイスタンブールの災害リスクと比べても明らかです。
日本人は、世界的に見た日本、そして東京の「セキュリティ」レベルの高さを誇りにし、今回の誘致活動の際にも、これを積極的にアピールしています。確かに犯罪やテロといった社会的リスクを考えると、これはその通りです。しかし、自然災害というリスクまで考えた「セキュリティ」と言う観点では、東京は必ずしも最高とは言えません。
復興と合わせ、防災対策を象徴する大会に
今回の誘致は、東日本大震災からの復興をテーマの一つに掲げ、成功したという側面がありますが、日本にとっては復興とあわせて、これからの防災への取り組みが重要なのは言うまでもありません。五輪、そしてその準備中に巨大地震が発生するリスクもあります。今回のような大きな国際イベントを開催するしないにかかわらず、日本は、首都直下地震や東海・東南海・南海地震などの巨大地震が起こることを想定し、さらなる災害対策をしなければならないのは誰もが納得するところでしょう。
今回の決定では「開催をめぐるリスクが少ない国、都市」として、日本が、そして東京が選ばれました。五輪の本格的準備はこれからです。私たちは、今回の誘致成功をきっかけとして「開催をめぐるリスクが少ない都市」を現実のものとし、より災害に強い東京、そして日本を作っていく必要があるのではと思います。
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