風呂の事故はなぜ起きる?知っておくべき安全対策
▼ 風呂の事故は交通事故の1.5倍発生している
「風呂好き」という方は多いと思いますが、入浴中の思いがけない事故に注意が必要です。
毎年11月~4月にかけては、入浴中に気を失って溺れる事故が多数発生しています。
厚生労働省の「令和3年人口動態調査」によれば、入浴中の事故で死亡した人は、交通事故で死亡した人の約1.5倍。
風呂での死亡事故は、30代40代にも起きます。
決して高齢者特有の事故というわけではありません。
統計によれば、30~40代前半の世代で年間40人近くがお風呂で溺れて死亡。
45歳~60代前半の世代になるとさらにその数が7倍近くまで跳ね上がります。
▼ 風呂の事故の原因、「ヒートショック」とは?
風呂での事故原因、その多くは、「ヒートショック」だと言われています。
ヒートショックは急な血圧の上下動によって起きるもの。
寒い環境では、体の熱を逃がさないよう血管が収縮して血圧が上昇しています。
そのようなときに突然、体が温められると、血管が拡がるため血圧が急降下。
寒暖差から体にさまざまな異変が起こります。
寒い脱衣所で服を脱ぎ、体が冷えたまま湯船につかれば、まさにこの「ヒートショック」の状態。
寒いくらいに冷房の効いた部屋から、急に湯船に入っても同じことです。
「寒→温」だけではなく、暖房の効いたリビングを出て寒いトイレに入ったときなど「温→冷」でも、ヒートショックになる可能性があります。
急な温度変化を身体に与えないように、徐々に慣らしていくようにしましょう。
ヒートショックにより、脳に血流が行き届かずめまいや失神が起きたり、血管が切れたり詰まったりして、心筋梗塞や脳梗塞などになることも。
一瞬めまいがするくらいで済むこともありますが、入浴中に意識を失って溺れたら、命に関わります。
▼ 風呂の事故を予防するために知っておきたいこと
健康に自信があるという方にも、ヒートショックは起こり得ます。
以下のようなときは、特に注意が必要です。
<若年層が注意したい「ヒートショックが起こりやすいとき」>
・疲れているとき
・睡眠不足のとき
・飲酒後
・熱い湯に長時間つかったとき
・湯上りに冷水シャワーを浴びたとき
仕事、家事や育児などに忙しい30代、40代の世代では、疲労や睡眠不足が慢性化しがち。
また、若いときとは異なる体の変化を感じはじめるころでもあります。
急激な寒暖差は、自分が思う以上に体に負担をかけているということを自覚しましょう。
疲れているときや、酔っているときはなおのこと。
血圧が高めの人や肥満傾向の人、糖尿病などの持病がある人は、さらにリスクが高まります。
また、自宅の風呂だけではなく、サウナや冬場の露天風呂などでもヒートショックには要注意。
サウナと水風呂を繰り返しているとクラッとすることがありますが、もしかしたら「ととのった」のではなく、ヒートショックによるめまいかもしれません。
▼ 風呂の事故を回避する「体にやさしい入浴法」
風呂の事故を予防するためには、疲れているときほど、体に負担をかけない入浴を心がけるべきです。
急激な温度変化による血圧の上下動を回避するため、以下のようなことに留意しましょう。
(1)浴室や脱衣所を温めておく
脱衣所に暖房器具を置いたり、浴槽のふたを開けて湯気で温めておいたりするのがおすすめ。
(2)浴槽やシャワーのお湯は41度以下にする
熱すぎるお湯はヒートショックの原因です。
長湯をすると湯あがりにめまいを起こしやすいので、浴槽につかる時間は長くても10分程度にとどめましょう。
(3)浴槽から急に立ちあがらない
急な体勢変化は、脳への血流にも影響します。
意識を失うこともあるので、浴槽の縁などにつかまりながらゆっくりと立ちあがりましょう。
(4)飲酒後は入浴を避ける
飲酒後に風呂で溺水する事故も発生しています。
酔っている自覚があるときは特に風呂は控えてください。
30代、40代で健康に自信があっても、入浴にはリスクがともないます。
そのときの体調によっては、疲れをとるため、酔いを醒ますために入った風呂で、命を落とす可能性もあるのです。サウナや温泉でも、無理をせず、体をいたわりながら楽しんでください。
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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事
侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
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