防災・防火 2026年08月21日

「在宅避難」の判断のポイントと必要な備え

▼「在宅避難」のメリットとデメリット
「在宅避難」とは、災害時に自宅の安全を確認したうえで、自宅で避難生活を送ることです。
住み慣れた環境で生活できることに加え、プライバシーを確保しやすい、避難所での集団生活によるストレスや感染症リスクを避けられるといったメリットがあります。
また、不特定多数の人と生活空間を共有する必要がないため、貴重品の管理や着替え、就寝時など、防犯面での不安を軽減できることもメリットのひとつ。
小さな子どもや高齢者、ペットがいる家庭などでは、自宅で過ごせることが大きな安心につながることもあるでしょう。

一方で、在宅避難ならではの難しさもあります。

・ライフライン停止(停電や断水、ガスの停止)に自分たちで備える必要がある
・避難所に比べ、支援情報や物資の入手方法を自分で確認する必要がある場合も
・周囲との接点が少なくなり、孤立しやすい
・災害の状況が変化した場合、自宅にとどまって良いか判断する必要がある


「避難所より自宅のほうが快適だから」という理由だけで在宅避難を選ばないことが大切。
在宅避難は「安心」だけではなく、自宅で「安全」に過ごせることが大前提です。

▼わが家は「在宅避難」できる?判断のポイント
在宅避難できるかがどうか、災害が発生する前から検討する必要があります。

まずは自宅や周辺エリアの災害リスクを知ることが第一歩です。
自治体が公開しているハザードマップで、以下のリスクを確認しておきましょう。
土砂災害や津波のリスクがある地域では、自宅にとどまることが危険な場合もあるため、災害の種類や地域の避難情報を確認し、必要に応じて早めに立退き避難を行うことが重要です。

・地震
・洪水、内水氾濫
・土砂災害
・高潮、津波


たとえば水害の場合、まずは浸水がはじまる前に安全な場所に移動し、避難することを優先してください。避難が間に合わず、外へ出ることがかえって危険な場合には、建物の構造や自室の階数によっては「上階へ移動する(垂直避難)」ことで安全を確保できるケースがあります。
ただし、水が引くまで孤立する可能性もあるため、垂直避難は最終的な手段として考えましょう。


また、地震による震災では、建物自体の耐震性が重要になります。
建築年や耐震基準を確認するとともに、家具の固定やガラス飛散防止フィルムの貼付など、室内の安全対策も進めておきましょう。

災害の種類や被害状況によって、適切な行動は変わります。
事前に在宅避難を決めたからと言って在宅避難に固執しすぎるのは危険です。
建物の損傷や火災などの危険が生じた場合は、躊躇せず安全な場所へ避難してください。



▼「ライフラインが止まった自宅」で在宅避難する準備
自宅の建物が無事であっても、電気・ガス・水道が普段どおり使えるとは限りません。
在宅避難では、「ライフラインが遮断された自宅で数日間生き抜く」ための備えが必要です。
家族の人数やライフスタイルにあわせた備えを進めておきましょう。

・水(飲料水/生活用水)
飲む水だけでなく、手洗いや身体を拭くための「生活用水」も必須です。
ポリタンク等で普段から多めに確保しておきましょう。

・災害用トイレ
非常時に切迫するとされるのが「トイレ問題」。
被災直後は、建物の配管や下水管が破損している可能性があります。排水設備などの安全が確認できるまでは、使える状態であっても水洗トイレを流さず、災害用トイレを使用することも想定しておきましょう。

「1人1日5回×家族の人数×7日分」(4人家族なら約140回分)を目安に、携帯・簡易トイレを準備しておきましょう。
(参考)経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」

・電源(電気の備え)
停電に備え、ポータブル電源や蓄電池などを確保します。
スマホの充電だけでなく、照明や夏の熱中症対策、冬の防寒対策に必要な電源も考えておきましょう。太陽光発電や蓄電池といった容量の大きな電源を確保できれば停電時の電力確保にも役立ちます。

・カセットコンロ/燃料
カセットコンロとボンベがあれば、ガスが止まっても温かい食事をつくれます。
灯油ストーブ等を使うご家庭は、燃料のストックも確認が必要です。

・食料/日用品(ローリングストックとフェーズフリー)
特別な非常食ばかりを揃える必要はありません。
普段の食品や日用品を少し多めに買い置きし、使った分を買い足す「ローリングストック」なら無理なく続けられます。
日常でも災害時でも使用できる「フェーズフリー」の発想で、日ごろから使えるアイテムを選ぶのもおすすめです。

真夏の停電による熱中症のリスクや、真冬の暖房停止など、自宅にいることで健康や生命に危険が及ぶ場合は、迷わず避難所など安全な場所へ移動してください。

自治体によっては、地域ごとの支援制度や備えをまとめた「在宅避難ガイド」を発行しています。ハザードマップとあわせて確認し、「わが家とって必要な在宅避難の備え」を具体的にシミュレーションしておきましょう。

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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ 上級研究員
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会副会長

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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