防災「フェーズフリー」の工夫とは

▼ 「フェーズフリー」という考え方
防災に「フェーズフリー」の考え方が広がっています。
防災と備蓄の重要性は理解しつつも、なかなか実行できないというケースは少なくありません。
「何を、どれくらい備えるのか」「賞味期限?消費期限?備蓄品が古くなってしまわないか」「防災用品を置く場所がない」など課題は多いものです。
「フェーズフリー」とは、いわば「備えない防災」のこと。
防災用として特別に備蓄するのではなく、日常的に使っているものを災害時にも利用するという考え方です。
▼ フェーズフリーを生活に取り入れるために
ポイントは普段の生活に「災害時に役立つもの」を組み込むこと。
【停電や断水への「フェーズフリー」】
災害時は電気や水の供給が止まる可能性があります。
飲料水のほか、缶詰、レトルト食品、栄養補助食品、菓子類など、すぐに食べられるものを用意するのが大切です。
ローリングストックにも適していますし、普段の食卓にも使えます。
災害時や非常時は普段と異なる環境下に置かれるものです。
食べ慣れたものがあるだけでも安心につながるでしょう。
また、モバイルバッテリーやキャンプ用のポータブル電源は停電時にも役立ちます。
バッテリー式のLED電球や照明なども日常的に使いやすく、災害時にも使えるアイテムです。
【安全確保のための「フェーズフリー」】
日常にある「いつもの用品」が安全確保に役立ちします。
たとえば「自転車用のヘルメット」。
防災用にヘルメットを用意しなくても自転車用でもある程度は代用可能です。
ほかにも普段から使っているラップ、ウエットティッシュ、マスク、軍手などは災害時にも役立ちます。
【避難のための「フェーズフリー」】
キャンプグッズや旅行用品は避難時も活用可能です。
寝袋、エアマット、LEDランタン、カセットコンロ、ポータブル電源など、アウトドア用品は避難にも適しています。旅行グッズも持ち出しやすく運びやすいので便利でしょう。
使い捨ての紙コップや紙皿などは、災害時にも大変役立ちます。
また、普段から大判のハンカチを持ち歩くことで、火災時に避難する際の煙対策、災害時に怪我をしたときの一時的な包帯にも活用できます。
いつも使用している、あるいは無理なく生活に取り入れられるものを日常に加えるのが重要です。
▼ 少しの防災意識が災害に強い暮らしをつくる
フェーズフリーの考え方は、大がかりな備蓄をすすめるものではありません。
日ごろの買い物や選択のなかで、「これは非常時にも使えるだろうか」と少し意識するだけです。
たとえば、
・普段から食べているものを少し多めに買う
・停電時にも使える照明や調理器具を選ぶ
・旅行やアウトドア用品を「非常時にも有効なアイテム」として捉える
こうした小さな積み重ねが、結果的に「備え」になります。
防災は、特別な行動をしなければはじめられないものではありません。
日常の延長線上にある対策を積み重ねることが防災力につながります。
【フェーズフリーと「非常用トイレ」について】
災害時に不可欠な「非常用トイレ」。
非常用トイレは、普段の生活で代替できるものが少なく、かつ普段づかいするようなものではありません。フェーズフリーの考え方になかなかマッチしないものです。
非常用トイレは必要数、備えておくことをおすすめします。
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・地震発生、そのとき「非常用トイレ」の必要数とは
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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクインテリジェンスグループ チーフ研究員
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事


侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
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