ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > マネの功罪〜マネで広がる犯罪手口にご注意を!〜
・マネされて日本語に取り入れられた季節の表現
2月も末、寒い日々が続いていますが、光に春の気配を感じるようにもなってきました。
さて、皆さんは「光の春」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。早春を表す季語にもなっている、この「光の春」という言い回しですが、もともとは、北極圏に近く、季節による昼夜の差が大きい地域に住む人々が話しているロシア語の言い回しです。前回の東京五輪があった1964年、「光の春」という言い回しが、あるエッセイによって紹介されたことにより日本語に入ってきたそうです。現在では「光の春」は、今頃の季節を表す言葉として、あたかも古くからある表現であったかのごとく使われるようになっています。
この言葉が醸(かも)し出す、詩的な空気感は、これから本格的な春を迎える人々の喜びを、そこはかとなく、包み込むように例えたものでもあり、これから本格的な春に向かう気配を感じさせる言葉として私たち日本人の心に響きます。
このような形でロシア語から取り入れられた「光の春」という言い回しですが、剽窃(ひょうせつ:他人の詩歌や文章などの文句を盗みとって自分のものとして発表すること)だととがめる人は誰もいません。日本語に導入されたことによる利害が全く発生しなかったからです。
・マネを促進するための社会制度とは?
「光の春」という言葉がそうであったように、人類は「他者の行い」のうち良いと思うものはマネをし、それを取り入れることで進歩してきたのです。着火や調理、器や布の作り方など、人類初期の「技術」と呼ばれるものは、皆そのようにして人類全体の発展に大いに寄与してきました。
一方、「マネされること」は、発明した人間にとっては「一方的な不利益」であることも間違いありません。その「一方的な不利益」を解消し、同時に「マネさせることを促進する」という、相反する要求をかなえるために考案された世の中の仕組みがあります。現在、「特許」と呼ばれている仕組みがそれです。その原形が15世紀のイタリアで生まれた「特許」は、特に英国において「産業革命」の基盤をなす社会制度として機能しました。
発明を秘密にされると、内容をマネすることが難しくなります。特許という仕組は、発明者に発明の内容を詳細な文書の形で公開することを求めます。そして、その見返りに20年間という期限を区切って、国の主権でマネを許さないようにするのです。その発明は、その期限が過ぎた段階で、公開された皆が知る情報として、誰もがマネをして構わないものとなります。
今、世の中に出回っている機械やシステム、医薬品などでも、特許制度によって情報が公開されたことで普及したものは少なくありません。
・マネで広がる犯罪手口にご注意を!
日本神話の「因幡の白兎」に出てくる「うさぎ」を語源とし、そこに「詐(いつわ)り欺(だま)す」という字を当てた「詐欺」という犯罪が大きな社会問題となっています。当然のことながら、犯罪手口には特許はありません。そのため、誰かが開発した新しい詐欺の手口は、世に出るや否や、あっという間にマネをされ、世の中に広がるようになっています。新しく開発された詐欺の手口は、見つかり次第、マスコミなどで周知され、注意が促されるようになってはいますが、そこにはマネを誘発し、模倣犯罪を促進してしまう副作用があることは否定できません。
人はマネをすることで学ぶ動物です。外国語の言い回しがマネによって日本語に取り入れられ、より豊かな表現が可能になったように、マネには人類全体の福利を増進するという良い側面があります。一方、新しい犯罪手口などの悪いことも、マネによって広まります。私たちは、新しい犯罪の手口には常に目を光らせ、それをマネして発生する犯罪に対して、十分に注意する必要があるのです。
データから読む「2018年も特殊詐欺の被害が続出」
データから読む「新しい手口が次々と・・・特殊詐欺の統計に「収納代行利用型」が登場」
安心豆知識「模倣と数学 〜 例題をいかに多くこなしているか 〜」
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |