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・穴の開いたナベは燃えるゴミ?
最近は、自治体におけるゴミの分別が進み、空き缶やビンは「燃えないゴミ」ではなく、「資源になるゴミ」として収集されています。この分別のルールは、自治体ごとに異なるため、引越などで別のところに行くと、今まで住んでいたところと異なるゴミ分別ルールに面食らうことがあります。
今では細かく分別して収集されているゴミも、昔は「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」に2分する程度で収集されていました。筆者は学生時代、この「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の分別収集の際に、紙くずやプラスチックはもちろんのこと、穴の開いたナベやフライパン、空き缶などの金属も、すべて「燃えるゴミ」として捨てていました。「燃えないゴミ」で出していたモノは、割れた食器などの陶器やガラスなどでした。
・「燃えるモノ」とは?
これは無分別にそうしていたわけではなく、当時は、何の疑いもなく、金属ゴミを「燃えるゴミ」だと思い込んでいたのです。先の「火を科学する」のコラムでも書きましたが、火が存在する状態、すなわち「燃焼」とは「モノが、熱と光の発生を伴いながら酸素と結合し続けている状態」のことです。この観点に立つと、鉄などの金属は、熱と光の発生を伴いながら酸素と結合し続けることができる「燃えるモノ」なのです。
小中学校の理科の授業では、鉄でできたスチールウールを燃やす実験が行われ、「金属が燃える」ことを学びます。「金属が燃える」ことは、科学的事実であり、今も昔も関係ありません。すなわち、穴の開いたナベやフライパンなどは、科学的には、現在でも「燃えるモノ」であることには変わりありません。
一方、今現在、穴の開いたナベやフライパンなどを「燃えるゴミ」として出したら、常識を疑われる可能性が大きいのではないかと思います。今考えると、筆者が昔行っていたゴミの捨て方は、周りから見たら眉をひそめる行動だったのではないかと反省しています。
穴のあいたナベを「燃えるゴミ」に分類したのは、学校で習った「金属は燃える」という観点からしかモノを見ることができなかったことによるものです。筆者が過去にしたように穴の開いたナベを「燃えるゴミ」と考える人は少ないと思いますが、今も、ゴミを分別する際に迷うことは少なくありません。皆さんも、ゴミを分別する際に多少なりとも困ったことがあるのではないかと思います。例えば、ラップのように薄く加工されたプラスチックを分別される際に迷われた方は多いのではないでしょうか。
・セキュリティのために必要なこと
これを解消するために、昔、「燃えるゴミ」、「燃えないゴミ」と呼んでいた呼び名は、現在は「燃やすゴミ」、「燃やさないゴミ」と変わり、各自治体が、ゴミ分別のマニュアルを発行するようになりました。もちろん、この分別マニュアルでは、穴の開いたナベやフライパンなどの金属ゴミは「燃やさないゴミ」に分類されています。
セキュリティを推進するためには、「施錠の励行」や「最新ソフトウェアへの更新」など、人々に情報を正しく伝え、行動を起こしてもらう必要があります。ゴミの分別の例で示しましたが、科学的事実と、一般の感覚がずれている例は少なくありません。私たち「セキュリティ」に関わる仕事に携わる人間には、人々にその都度その都度の正しい行動を起こしてもらうような情報を提供していくことが求められています。
「燃えるゴミ」が「燃やすゴミ」となり、さらにそれが例示されるようになったように、私たち、セキュリティに関係する人間には、世の中で起こっている客観的な「事実」を伝えるだけではなく、その都度、それをできるだけ分かりやすい形にしてアウトプット、コミュニケーションをとっていく必要があるのではないかと思います。
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