ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 全国で使えるようになった交通系非接触ICカード
・久しぶりに関西地区に出張し、気づいたこと
先日、久しぶりに大阪に出張する機会がありました。筆者の住んでいる関東の交通系非接触ICカードが、関西で使えるようになってから初めての出張であったため、その便利さを実感する初めての機会となりました。当然のことながら、自動改札はもとより、駅ナカ売店や自販機でも使用可能となっていたため、在阪中に小銭を使うことはほとんどありませんでした。
・利便性と裏腹のリスク
今さらですが、交通系の非接触ICカードは、今年の3月に全国の主な公共交通機関で使えるようになりました。非常に便利になったのですが、利便性とリスクは常に裏腹の関係にあるため注意が必要です。全国で使えるようになったということは、全国どこでも不正使用もできてしまうことにもつながります。
交通系非接触ICカードには、大きく分けて、利用者情報を登録する「記名式」と、誰もが利用できる「無記名式」があります。交通系ICカードを記名式にする利点は、落としたり紛失したりした場合、そのカードを無効化し、カードにチャージしたお金(SF: Stored Fare)を守ることができる点です。また、手数料は必要ですが、紛失したカード内のSFを保ったまま、カードの再発行を受けることも出来ます。交通系ICカードを、既に定期券として使っている場合は、そのカードは自動的に記名式として扱われるため、定期の内容とカード内のSFを保ったままの再発行が可能です。
一方、無記名式の交通系ICカードを使っていてそれが誰かの手に渡った場合、そのカードの使用を止めることはできませんし、SFを保ったままのカードの再発行を受けることもできません。無記名式のカードは現金と同じということです。無記名式のカードは、鉄道会社などの窓口で、無料で記名式に変更できるため、紛失リスクが気になる方は、記名式に変更してもらってください。
記名式カードでは、カードと個人が紐づけられることから、個人のカード使用履歴の情報が鉄道会社などのシステムに残ることになります。カードの再発行などのサービスは、この情報を使って実現されています。しかし一方で、記名式カードには、個人がどこからどこに移動しているのか、また駅ナカ売店などのICカードが使える店でどのような商品を買ったのかなどの情報は、「個人情報」にあたります。そのため、その取り扱いには、私たちICカードを使う側だけではなく、ICカードによって決済サービスを行う事業者の細心の注意が必要になっています。
・非接触であるがゆえのリスク
また、交通系ICカードには、それが非接触という利便性を持つがゆえに発生する新しいリスクがあります。非接触ICカードの読み取り機には、自分から10cm程度の距離に入ったICカードを自動的に認識し、そこにチャージされたSFを引き去る機能があります。そのため、ICカードを不用意に読み取り機に近づけた場合、SFとしてチャージされたお金を気がつかないうちに徴収されてしまうことがあります。店舗などの読み取り機では、支払いの際にしか読み取り機能が働かないようになっているため、間違ってお金を徴収されてしまうことは少ないのですが、バスの料金機に設置されたICカード読み取り機では、常時、読み取り機能が働いているため、注意が必要です。
また、この仕組みを悪用し、個人がICカード読み取り機を入手して、パソコンなどにつないでインターネットショッピングの代金を支払うなどの犯罪に対しても注意が必要です。
世の中の技術はどんどん進み、いまやスマートフォンと無線連携して使える非接触ICカード読み取り機も世に出ているのです。今後、非接触ICカードがさらに普及し、それによる決済がより当たり前に行われるようになると、クレジットカードがそうだったように、それを使った犯罪が出現する可能性は誰にも否定できません。非接触ICカードは、個人での取り扱いが重要になるということです。
・利便性を逆手に取った犯罪手口に注意
非接触ICカードの利便性は誰もが認めるところであり、世に出ている各種セキュリティシステムでも、交通系ICカードを使うことができるようになっています。しかし、「便利な仕組み」が社会に普及すると、それを使った新たな犯罪手口が開発され、世の中を騒がせるのは歴史が語るところです。私たちは、普及が進む非接触ICカードも例外ではないことを頭に置き、その利便性を享受する一方で、それが不正使用されるリスクについても十分に注意する必要があるのではないかと思います。
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