ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > パスカルのサービスモデルとオンライン・セキュリティシステムの類似性
日本で江戸時代が落ち着きを見せ始めたころ、科学者、数学者、哲学者として名をはせた天才、パスカルがフランスに生まれました。「人は考える葦である」という言葉や、気圧(圧力)の単位で有名な彼ですが、学術分野における活躍のみならず、ビジネス分野においても、それまでなかった新しいスキームを考案していることはあまり知られていません。
パスカルが考えた画期的サービスモデルとは
実はこのパスカル、今や世界中で見かける「乗り合いバス」のサービスモデルを考案しているのです。彼が考えたバスは、決まったルートを定時に運行する馬車による乗り物で、当時の通貨で5ソル出せば誰もが乗ることができたため「5ソルの馬車」として知られたそうです。世界で初めての公共交通機関と言われています。
当時、馬車は王侯貴族などが乗る特別な乗り物であり、よほどの富裕層でなければそれを所有し、乗ることはできませんでした。そこにパスカルは、同じ方面に出かける人々が、運賃という形でコストを分かち合い、乗り合わせることで、目的地の近くまで行ける公共交通機関サービスモデルを提案したわけです。そのサービスモデルは、当時としては画期的なもので、その運賃の手ごろさと利便性とから、あっという間にヨーロッパ中に広まりました。
馬の維持費、人件費などのコストを、同じ方面に行く人々で分け合って負担することに加え、馬車を常に働いている状態に置くことで効率を上げ、手ごろなコストで誰もが利用できるようにした乗り合い馬車のシステムは、当時としては、まさに庶民の味方だったのでしょう。
オンライン・セキュリティシステムとの類似点
パスカルが考えた「乗り合いバス」と、セコムが世に始めて出し、今やセキュリティサービスの標準形となっているオンライン・セキュリティシステムには多くの類似点があります。
セキュリティサービスは、もともとは「守る対象」である物件の建物に、セキュリティスタッフが常駐するところからスタートしました。当初は、施設毎にセキュリティスタッフを派遣していました。もし今のセコムで、すべての国内ご契約先に人を派遣したとしたら、たとえ1名ずつ派遣したとしても170万人弱の人間が必要となり、人件費などのコストを考えても、一般の人がすぐに契約できる現実的な価格にはならなかったでしょう。また、そもそもそれだけの人間を雇用できるのかという別の問題も発生していたと思います。
ここに、1966年6月、セキュリティにおける「5ソルの馬車」、オンライン・セキュリティシステム(開発当時「SPアラーム」)が、セコム(当時は日本警備保障)によって日本で初めて開発されました。安全管理に必要なコストを、それが必要な人々で分け合って負担し、かつ監視システムとセキュリティスタッフを常に稼働させて効率を上げる「バス型」のセキュリティ提供モデルが、当時の最先端であるオンライン技術の導入によって始めて実現されたわけです。
これによってセキュリティサービスには、劇的な効率化とコストダウンがもたらされ、今や個人向けの「ホームセキュリティ」は月額数千円程度になっています。製造業では当たり前の大量生産によるコストダウンを、サービス業で実現したという意味で、画期的なパラダイムシフトだったと言えます。
利用者が増えることは利用者にもメリットをもたらす
乗り合いバスのサービスは、サービスに必要なリソースを利用者が共有し、コストも分け合うことで始めてリーズナブルなものとなりました。バスは、リソースを共有しコストを分かち合う存在である利用者が増えることで、本数が増えたり、よりきめ細やかなルートになったりと、ますます便利なものとなります。
これは、ホームセキュリティなどのオンライン・セキュリティシステムの場合でも同じです。リソースを共有する利用者が多い方が、サービスを提供するプロバイダに、より多くのノウハウが蓄えられ、より良く、高品質なサービスが提供できるようになるのです。セキュリティサービスを選ぶ際の参考にしていただければと思います。
(参考)
・「SPアラーム」の開発に着手 (セコム創業期物語第9回)
・「SPアラーム」第1号契約(上) (セコム創業期物語第11回)
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
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