その他安全 2023年09月01日

統計から見えてくる「自転車事故」対策

▼ 自転車事故のリスクを軽視するのは危険
全交通事故に占める自転車関連事故の割合が増加の一途です。
警察庁が発表の統計を見ると2016年以降、割合が増加に転じて2022年には23.3%を占めるまでになりました。

自転車関連事故の件数も増加傾向で、2022年の自転車関連事故の件数は、69,985件。
前年2021年から291件の増加となりました。直近10年で最小だった2020年と比べると2,312件の増加です。

自転車は日常に欠かせない乗り物ですが、それだけ交通事故のリスクも身近と言えます。
近年、スピードの出るクロスバイクや重量がある電動自転車も街中でたくさん見るようになりました。

スピードが速いほど、重量があるほど、事故の衝撃は大きいものです。
たとえば子ども2人を乗車させられるタイプの電動自転車なら総重量は100kgを超えるでしょう。

これほどの重さの乗り物が事故を起こせば重大な事態につながりかねません。
日常の一部である自転車には、重大な交通事故リスクが潜んでいるのです。

自転車関連事故件数の推移(警察庁)
自転車関連事故件数の推移(警察庁)


△統計から見えてくる「自転車事故」対策 TOPへ



▼ 事故状況別のリスク対策
・自転車と自動車の事故
自転車関連の死亡・重傷事故のうち、約8割が対自動車の事故です。
「出会い頭の衝突」が最多で半数以上を占めています。
見通しの悪い交差点や丁字路で多く発生している状況です。

十字路や丁字路は、信号のある大きな道路だけではなく住宅地などにも無数に存在します。
一時停止や安全確認を徹底することで、防げる事故も少なくないのです。

・自転車と歩行者の事故
約4割が「歩道上」で発生しています。
(公財)交通事故総合分析センターによれば、歩行者が前から歩いてくる「対面通行中」や歩行者のうしろから走行してくる「背面通行中」に、自転車が衝突する事故が多いとのこと。
すれ違う際に間隔を十分にとっていないことが原因と指摘しています。

・自転車同士の事故
自転車同士の事故も、「出会い頭の衝突」が約半数を占めていますが、「正面衝突」や「追い抜き・追い越し時」「すれ違い時」などの事故も多いのが特徴です。
登校・出勤時間となる7~8時台に突出して多く、歩道や車道で自転車利用者が交錯することが多くなることが原因と分析されています。

【安全ワンポイント!「頭部損傷が致命傷に」】
自転車乗車中の交通死亡事故では、約6割が頭部損傷により命を落としています。
ヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人に比べて約2.1倍高まるそうです。

今年の4月から道路交通法の改正により、自転車のヘルメットの着用が努力義務になりました。

自転車を利用するなら、通勤・通学時はもちろん、近所への買い物などでもヘルメットの着用は必須。運転者だけではなく、同乗する子どもにもヘルメットを忘れず着用させてください。

自転車用ヘルメットは、安全性の証しであるSGマークがある、あご紐で固定できるタイプを選びましょう。
昨今は、つば付きのものやハット型のデザインなど、ファッション性の高いヘルメットも多彩です。



▼ 自転車運転者は誰もが加害者になりうる
自転車運転中に法律違反をして事故を起こせば、当然のことながら責任を問われます。
自転車事故で他人を死傷させれば刑事上の責任に問われるほか、民事上の損害賠償責任も発生することを忘れてはいけません。

実際に自転車運転者が加害者となった事故事例では、多額の賠償金が発生することもあります。
小学男児が歩行者に意識不明の重傷を負わせた事故では、男児の保護者に約9,500万円の賠償金を命じられました。

以下は、いずれも数千万の賠償金の支払いが命じられた自転車事故の事例です。
・夜間にイヤホンで音楽を聴きながら、無灯火で自転車を運転して歩行者と接触
・ペットボトルを片手に下り坂からスピードを落とさず交差点に進入し、歩行者と接触
・自転車横断帯のかなり手前から車道を斜めに横断し、対向車線を走行してきた自転車と衝突
・信号無視のうえ高速で交差点に進入し、青信号横断中の歩行者と衝突

重傷・死亡事故になった事例ばかりですが、加害者の事故前の行為だけを見れば、同様のことを「うっかり」やってしまったことがある人もいるかもしれません。
あらためて、自転車の怖さを肝に銘じたいものです。

自転車事故の加害者は、16歳~18歳が最多。
次いで13~15歳が多くなっています。
この年齢層の自転車事故は、歩道で多く発生しており、自転車同士の正面衝突も多いです。

子どもが正しく自転車の交通ルールを理解しているか、運転時の慢心はないか、しっかり確認しておきましょう。

【安全ワンポイント!「自転車は軽車両」】
道路交通法で自転車は軽車両の扱いです。
車道の左端を通行するのが原則。

歩道走行は「例外」であり、自転車は歩行者を妨げてはいけません。
自転車側に一時停止義務があります。
自転車を走行させるならこのことを忘れてはいけません。
やむを得ず走行するのであれば、歩道を"お借りします"という気持ちを忘れないでいただきたいと思います。


それでも「自転車が止まるべき」「自転車が止まるだろう」と考えていては事故に巻き込まれる可能性があります。

ひとたび事故が起これば重大な事態につながりかねません。
歩行者も周囲を十分に注意しながら歩きましょう。


* * * * * * * * *


<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

△統計から見えてくる「自転車事故」対策 TOPへ

セコムAEDオンラインパッケージサービス

■セコムだからできる、充実の「セコムAEDオンラインパッケージサービス」

「セコムAEDオンラインパッケージサービス」は、導入しやすいレンタル方式で、消耗品の交換時期はセコムで管理します。また、オンラインでAED本体の故障の有無や電極パッドの使用期限などを管理します。
>>セコムAEDオンラインパッケージサービスについてもっと詳しく見てみる

ご家庭の
「セコム・MyAED」を詳しく見る

AEDと心肺蘇生法の使用法を教習
「セコムAEDスキルアップサービス」を詳しく見る

SNSシェア
関連するカテゴリーを見る
事故