ラニーニャの夏!熱中症にご用心
▼ 熱中症搬送者数と最高気温の関係
熱中症対策が欠かせない季節がやってきました。
気象庁の情報によれば、今夏はラニーニャ現象が続く可能性が高く、猛暑が予測されています。
例年以上に注意が必要です。
熱中症搬送者数と気温には、密接な関係があり、最高気温が高いほど熱中症の救急搬送者数が多くなるという傾向が確認できます。
つまり、最高気温が高い日ほど、熱中症に注意が必要だということ。
今年の夏はラニーニャ現象により、例年より気温が高くなる可能性が高いので、熱中症対策をしっかり意識して、毎日を過ごすようにしましょう。
▼ 熱中症危険度は「熱さ指数(WBGT)」をチェック
熱中症には、気温の高さだけではなく、湿度も大きく関係しています。
熱中症の危険度を示すものとして、目安にされているのが「暑さ指数(WBGT)」です。
暑さ指数(WBGT)とは、「気温」「湿度」「輻射(ふくしゃ)熱」からなる指標。
気温と同じ摂氏(℃)で示されますが、「気温1:湿度7:輻射熱2」の割合で計算されています。
同じ気温でも、汗が蒸発しにくい高湿度な環境では、より熱中症リスクが高いということです。
湿潤な日本の夏。それに猛暑が加われば、かなりの熱中症危険度になります。
熱中症患者が急増するのは、暑さ指数(WBGT)28℃を超えたあたりです。
熱中症対策として、最高気温だけではなく、暑さ指数(WBGT)も確認することをお忘れなく。
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、地域ごとの暑さ指数(WBGT)が確認できます。
暑さ指数(WBGT)のメール配信サービスなどもおこなっていますので、熱中症対策のひとつとして活用してみてはいかがでしょうか。
▼ 油断しがちな「働き盛り世代の熱中症」とは
高齢者や子どもの熱中症リスクが注目されがちですが、働き盛りの世代も熱中症と無縁ではありません。
消防庁が発表している熱中症の救急搬送状況の統計を見ると3割程度は、18歳~65歳の成人が占めています。
健康な人ほど、体力を過信して熱中症対策がおろそかになりがち。
熱中症は体力や健康状態に関係なく、条件がそろえば、誰でも発症する可能性があるのです。
厚生労働省の統計では、在宅中や作業中に発症することが多くなっています。
熱中症リスクを理解し、正しく熱中症対策をおこなうことが必要です。
<働き盛り世代の熱中症対策>
(1)水分と塩分をこまめに摂る
水分だけを摂っても身体には吸収されないので、塩分の補給が重要です。
水分と一緒に塩飴や塩分タブレットも常備しておきましょう。スポーツドリンクもおすすめです。
(2)通気性の良い衣服を選ぶ
汗が蒸発せず、熱を発散できない状況では、熱中症リスクが高まります。
ビジネスシーンでは、ジャケットを着用する機会もあるかもしれませんが、できるだけ通気性の良い素材を選ぶことが重要。
適宜ジャケットを脱ぐ、腕まくりをするなどしてコントロールしましょう。
(3)熱中症対策のアイテムを活用
汗を蒸発させ、体温の上昇を抑えることが、重要な熱中症対策。
首回りを冷やすアイテムや、持ち運びできるハンドファン、扇子やうちわなどを活用してください。
(4)屋外での作業は2人以上で
万が一、熱中症を発症したときに、周囲に誰もいなければ命に関わることもあります。
農作業やスポーツなど、屋外で活動するときは2人以上でおこなったほうが安心です。
(5)異変を感じたときは無理をしない
熱中症の初期症状では、めまいや立ちくらみなどが起こります。
これからの季節、わずかでもクラッとしたり目の前が暗くなったりしたときは、熱中症を疑うべき。
涼しい場所で身体を休めるようにしてください。
熱中症の初期対応では、衣服をゆるめ、首・わきの下・足の付け根を冷やすことが大切です。
改善しないようなら、早めに医療機関を受診しましょう。
▼ テレワーク中の熱中症対策
在宅でデスクワークをしていると、あまり動かないこともあって、熱中症対策がおろそかになってしまうことがあります。
こまめな水分補給はもちろんですが、エアコンで室温と湿度を調整することが欠かせません。
また、在宅時間が長いリモートワーカーに懸念されるのは、暑熱順化の遅れです。
暑熱順化とは、暑い環境に身体が慣れること。
日ごろあまり汗をかいていないと、暑い環境でスムーズに汗が出ず、身体に熱がこもります。
熱中症に負けない身体をつくるためには、軽い運動などで汗をかき慣れておくことが重要なのです。
テレワークであまり活動していないという方は、朝や夕方以降などの時間帯を選んで、近所を散歩するのがおすすめ。
軽く汗をかくくらいの活動を毎日の習慣にすると熱中症対策になります。
短時間の散歩でも、途中で水分と塩分を補給するのを忘れないでください。
▼ 猛暑の夏、マスク着用と熱中症リスク
コロナ禍においては、マスクの着用も熱中症のリスクを高めていることが指摘されています。
政府も適宜マスクを外すことを推奨していますが、ソーシャルディスタンスを保てる屋外でもマスクを着用している人は少なくありません。
日本救急医学会が、サージカルマスクを着用した人と着用していない人にそれぞれジョギングマシーンで運動負荷(1時間、5km)を与えた場合の実験結果を報告しています。
マスクを着用した人は、心拍数、呼吸数、二酸化炭素が有意に上昇。マスクをつけている部分の皮膚温度は、マスク未着用の人に比べて2℃近く上昇していたそうです。
汗をかくような運動中や作業中のマスクの着用は、熱中症リスクが高まることがわかります。
マスクをしている場合は、いつも以上に熱中症対策をしっかりおこなうこと。
熱中症リスクを見極めて、状況に応じた対策が重要でしょう。
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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事
侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。
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