防災・防火 2024年07月05日

線状降水帯と夏の大雨

▼ 線状降水帯がもたらす「極端な大雨」
線状降水帯がもたらす集中的な豪雨が各地で相次いでいます。
気象庁気象研究所等の気候予測シミュレーションによれば、地球温暖化が進行すると、線状降水帯をはじめとする極端な大雨の発生回数がさらに増える可能性があるとのこと。

線状降水帯とは、発達した雨雲(積乱雲)が次々と発生し、列をなしてほぼ同じ場所に停滞、通過することで作り出される気象。
長さ50~300km、幅20~50kmの線状に伸びる強い降水域が「線状降水帯」です。

短時間で災害が発生するほどの大雨をもたらす線状降水帯ですが、発生のメカニズムは未解明なところが多く、発生予測が困難とされています。

線状降水帯が発生したら、大雨は確実。
人命にかかわることから、予測精度向上の取り組みが継続されているのが現状です。

その成果もあって、気象庁から発表される線状降水帯発生予測情報は精緻になりつつあります。
これまでは全国を11ブロックにわけた地方単位で警戒を呼びかけてきましたが、2024年5月27日からはより範囲を絞り込み、府県単位での発表に変更。(当初、5月28日からの予定でしたが、前線に伴う大雨が予想され、一日前倒しで運用が始まりました。)
半日程度前に警戒を呼びかけ、早期の避難行動をうながしています。

線状降水帯の情報は、気象庁の大雨警報、災害アプリ、キキクルなど複数から発信されます。
自治体が発令する避難情報と併せて活用し、自身で避難の判断をすることが重要です。

▼ 線状降水帯が発生!そのとき何が起きるのか?
線状降水帯による極端な大雨がもたらす被害は甚大なものです。
住んでいる場所や勤務先、子どもの学校など、ご自身やご家族の行動範囲で何が起こるのかを把握して、大雨災害のリスクに備えましょう。

・市街地で考えられるリスク
市街地に短時間に大量の雨が降ると、地面に水が染み込まず道路が水浸しになって川のようになります。
雨が下水道や排水溝の処理能力を超えると、あふれた雨水でマンホールや側溝のふたがはずれるなど、内水氾濫のリスクがあります。

・河川のそばで考えられるリスク
河川が急激に増水し、堤防から水があふれたり、堤防が決壊したりする外水氾濫が発生するリスクがあります。

・山林のそばで考えられるリスク
山林では地盤がゆるんで起きる土砂崩れや地すべりの危険があります。
大量の雨水が土砂や木、岩などを巻き込んで流れ落ちるため非常に危険です。

大雨により発生する可能性がある災害リスクは、「ハザードマップ」で確認できます。
日常生活では見落としがちですが、土地には高低差があり、土地の高さで被害の度合いが異なります。
浸水状況は、避難ルートの選択にもかかわりますので、生活圏で起こりうる大雨災害の種類、安全性が高い場所や危険な場所を把握しておきましょう。

また、避難所の場所をチェックしておくこともお忘れなく。
地震のときの避難所と、大雨災害による避難所は、場所が異なることがあります。



線状降水帯は、梅雨前線が活発になる梅雨時、特に梅雨明けが近づいたころに発生しやすい傾向があります。
ただでさえ雨天が多い時季です。毎朝の気象情報をしっかりチェックしましょう。
アプリなどの災害情報などと併せてこまめに確認し、線状降水帯発生予測が出たときは侮らないことが肝心です。


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<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

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