ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 2018年、「千年前」と「千年後」のリスクについて考える
2018年が始まりました。本年も「安心豆知識」をよろしくお願いいたします。
今年1本目のコラムのテーマは、現代から千年前の平安時代、そして千年後の遠い未来に思いを馳せ、未だ見ぬ「リスク」についてお話ししたいと思います。
・"この世は我が世"と詠った人物がはまった落とし穴とリスク
今年2018年のちょうど千年前にあたる、1018年。時は平安、藤原氏が権力握っていたころです。その藤原氏の中心にいた藤原道長が詠んだ和歌、「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」は、中学校の教科書にも載っており、多くの方が知っているかと思います。
この世を「わが世」と表現するなど、栄華を極めた道長ですが、晩年の記録には、今で言うところの糖尿病と思われる様子が見られ、さまざまな合併症に苦しみながら命を落としたようです。
実際、彼は、相当の美食家、偏食家だったと伝えられています。その食生活は、現代の感覚からすると「糖尿病を患うのも当然」かもしれません。しかし千年前は、人々は日々の食生活が病気(生活習慣病)と関係しているという概念を持つことができなかったのです。
・千年後、3018年に視点を変えると・・・
さて、ここで視点を変え、今から千年後の3018年を考えてみましょう。千年先の未来、今はまだないさまざまな観測技術が発明され、今を生きている人類がまったく知ることができず、その概念すらも分っていない「何かの存在」が明らかになっていることでしょう。今の子どもが、千年前にはまったく分かっていなかった糖尿病という病気を知っているように、千年後の3018年の子どもは、その「何かの存在」について当たり前のように知っているかもしれません。
しかし、観測技術のない2018年に生きる私たちは「何かの存在」を知ることができず、概念すらも持つことができません。そのため、今現在、その「何かが存在する」といえる人は誰一人としていないのです。私たちは、果たしてその「何か」が存在しているのかどうかすら分からないのです。これは、1018年に生きていた人々が「糖尿病の存在」についてまったく思いも及ばなかったことと同様です。
・「そのリスクは本当にあるのか?」科学的アプローチでは答えを見つけられない問いかけ
糖尿病という病気の例で考えましたが、これは病気に限らず、リスク全般に言えることです。まだ起こったことがなく、誰の考えも及ばない「悪いできごと」が起こる可能性、すなわち「リスク」は、果たして存在すると言えるのでしょうか。
将来、その「悪いできごと」を経験した人間は、その知識があるため「以前からリスクは確かにあった」と言うかもしれません。しかし、今現在「そのリスクが本当にあるのか」というのは判断することが非常に難しい問題だといえます。これは、科学を超えた問いかけであり、実験や調査などの科学的なアプローチでは、その答えを見つけることはできないのです。
・"誰の考えも及ばない"対象を相手に・・・「セキュリティ」の研究は続く
さて、私たちセコムがご提供しているサービスは「セキュリティ」です。その、セキュリティ実現の第一歩、「リスクを考えること」には、非常に難しい問題が横たわっていることがお分かりいただけたのではないかと思います。
セキュリティの研究では、このように「誰の考えも及ばない」対象を相手にしなければならないことも生じます。セキュリティを対象として、研究する私たちは、このような難しい問題に対しても挑んでいかなければなりません。セキュリティは、非常に奥が深く興味深い研究対象なのです。
本コラムでは、今年もいろいろな「安心豆知識」を提供していきたいと思います。本年も、どうぞよろしくお願いします。
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