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前回のコラムで、セキュリティの本質が「家庭の平穏な日々や、会社の業務などの組織のオペレーションが、さまざまな出来事に影響されずに続くこと」であり、セキュリティ対策において守る対象である「オペレーション」の本質が「一人ひとりが感じるハピネス(心地良さ)を高めること」にあることについて述べました。
・「技術」というコトバは何を指し示しているのか?
今回は、人が感じるハピネスとの関係性から、「技術」とは何かについて考えてみたいと思います。「日本の技術力は・・・」「A社の○○技術で」など、「技術」というコトバを新聞やテレビなどのメディアで見ない日はないと言っても過言ではありません。それでは、これらのメディアに出てくる「技術」というコトバで指し示さされているものの本質とは、一体何なのでしょうか。
・太古の昔の人々の生活を根本から変えた技術、「農業」
太古の昔、人は、親族やごく親しい人間で集団を作り、木の実や山菜、小動物や魚などを狩って暮らしていました。人々は、毎日、必死になって食べものを探し、野山を歩き回っていたことでしょう。食糧が得られるかどうかは、その日の命をながらえられるかどうかを決める重要なことでした。食べ物が見つからないことが、命の終わりにつながることもあったはずです。
やがて、この不安な情況を根本から変え、人々を日々の食べ物への心配から解放した画期的な手法が開発されました。現在「農業」と呼ばれている手法です。これが広まることで,人類は飢えの恐怖におびえることがなくなりました。農業が、当時の人々に「安心」をもたらし、人々が感じるハピネスを大いに高めたことは間違いありません。農業はまさに、当時の世の中のありようを変え、人々の生活をその根本から向上させるノウハウだったはずです。
・「技術」の本質とは
農業の例で説明しましたが、筆者は「一人ひとりが感じるハピネス(心地良さ)を高めることを、より良く、より効率的に行うためにあみ出されたノウハウ(知)」が、現在、人々に「技術」と呼ばれているものの本質だと考えています。
古くは、火を得る手法、加熱調理、車輪、精錬、製糸、織布などに始まり、近現代にいたっては、飛行機や自動車、抗生物質、コンピューター、情報ネットワークなどなど、少し考えただけでも人類の発展に大きく貢献した「技術」は枚挙に暇がありません。これらの共通点は、「人々のハピネスを大きく高め,今なおそれをし続けている」ということです。
・画期的な「技術」で人々にハピネスを
人は例外なく「心地良さ」を求めて生きており、幸せとは「その心地良い状態」のことです。心地良さ、すなわちハピネスを求める思いが、技術を進歩させ、人々は豊かな社会を築いてきたともいえます。
最近、AI、IoT、Big Dataなどの「情報に関係する新しい手法」を表すコトバを見かけることが多くなりました。しかし、これらは、まだ「世の中に大きな変化をもたらす可能性」という文脈で登場することが多いものと思います。今現在、これらが当時の農業に匹敵する規模で「人々のハピネス追求」に貢献しているかというと、残念ながらまだそこまでは至っておらず、期待感で語られることが多いからです。
これらの手法が、一時的なバズワード(流行語)を超えて、本当の意味での画期的な「技術」になるためには、一般の人々の様々な「ハピネス追求の営み」に、目に見える形で貢献する必要があるのでは、と思っています。その観点から、AI、IoT、Big Dataなどに限らない、(広い意味の)セキュリティ(人々のハピネス追求の営みの維持)を追求する技術を研究する私たちの責任は重大だと感じています。
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