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日本史と世界史、共通するセキュリティ施策とは

 1560年6月12日、日本の歴史に残る大きな出来事がありました。時は戦国、京にのぼるべく進軍していた今川義元が、織田信長の所領に攻め込んだところで命を落としたのです。今でいう「桶狭間の戦い」です。世界に目を転じると、ちょうど同じ年の同じ頃、スペインを中心としたヨーロッパ諸国の連合軍が地中海の覇権をかけてオスマン帝国(オスマン朝トルコ)に侵攻し、「ジェルバ島の戦い」が起こっています。

 これら2つの戦いには類似点があります。双方共に、侵攻された側が勝利し、その後のその地域における覇権を確実なものとしたこと、また、覇権を確立した自分の域内で、それぞれ「楽市楽座」、「カピチュレーション」と呼ばれる通商保護に関係する政策を展開したことなどです。 

 古今東西を問わず、「商い」というオペレーションが行われる場所は、商材とお金、そして情報が集まる場所であり、またそこは、それらを狙う泥棒や強盗などの「賊」と呼ばれる類が引き寄せられる場所、利権を持った人間が暗躍する場所でもありました。そのため、時の権力者の多くが、自分の域内を繁栄させるために、商いの場所から、賊や特権的商工業者などを取り除いて、安心して自由な商取引ができるようにするセキュリティ対策を行いました。

「商い」に限らず、そこで行われるオペレーションを活性化し、その場所を繁栄させるためには、「安心してそのオペレーション行為ができる環境」が必要不可欠となります。安心を脅かす悪い人、正当なオペレーションに害を及ぼす人、すなわち正当な目的を持たないエージェントを、その場所に入れてはいけないのです。正当な目的を持たないエージェントをいかに入れないかが、その場所の繁栄を左右するということです。

 本コラムでは、しばしば場所の防犯に特化した「正当な目的を持たないエージェントを入れないこと」を狭い意味のセキュリティ、「オペレーションが回っている状態を維持すること」を広い意味のセキュリティとして紹介していますが、両者はこのような形で深く関係しているのです。

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セコムIS研究所
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