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その服の役割

 本日5月29日は、言葉のゴロ合わせから「呉服の日」です。呉服は、古代中国の「呉の国」の技法で織られた布から作られた服という意味であり、「きもの」などの和装全般を呉服と呼んでもおかしくないそうです。

 幕末から明治初期に西洋から入ってきた洋服は、当時、西洋の代名詞であったオランダ伝来ということで「ラン服」と呼ばれ、日本古来の着衣である和装と区別されていました。今でも、学生服のことを「学ラン」(学生のラン服)と呼ぶのは、その当時の名残です。

 着衣の機能のひとつに、着ている人間の役割を明確にする役割があります。中学高校に通う皆さんが着用する学生服には、それを着ている人間が学生であることを表すという役割があるということです。この着衣の機能を、より際立たせたものが「制服」です。制服の大きな目的のひとつに、それを着ている人間が、ある特定の団体に所属していることを明示し、一目でそれを区別できるようにすることがあります。

 球技などの敵味方が入り乱れるスポーツで、「ユニフォーム」という制服が必須なのはそのためです。また、制服は、それを着ている人間同士の連帯感を強めたり、自尊心や規律、ロイヤリティなどを高めたりする目的で設けられることもあります。

 警備などのセキュリティスタッフが着ている制服は、人々に対して「その仕事をしていること」を、周りに分かりやすくアピールするほか、それを着た人間自身にもそのことを意識させ、責任感や誇りなどを醸成する目的で使われています。民間の警備サービスで使う制服は、公の規定があり、色や形、標章などで、警察官などと明確に区別できるようにしなければなりません。また、制服の形状については届け出をする必要もあります。

 民間の職場で働く人間が着る制服に対して、国の規定がある職種は多くありません。セキュリティサービスという仕事が、世の中全体から見ても、他の仕事と区別しなければならない特殊な位置づけであることが、このようなところからもお分かりいただけるのではないかと思います。

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