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災害による出動が大きく増えた2016年の救急車

 2016年の救急出動件数に関する速報値が、消防庁から発表されました。それによると、救急出動件数は621万となり、前年同期比で2.6%の増加でした。2.6%というのは、この10年で3番目に高いものです。
 出動の要因をみると、やはり「急病」が最も多く、全体の64%を占めます。次いで、「一般負傷」の14.9%、「転院搬送」の8.4%、「交通事故」の7.9%が続きます。ここまでの主要な4つの要因の構成割合は、近年ほぼ同等となっています。

 出動要因のうち、前年比の増加率が比較的大きいものとしては、「急病」の3.2%、「一般負傷」の3.5%が目立ちます。一方で、「交通事故」は2.5%の減少となっており、交通事故のそのものの件数の減少によるものと考えられます。それ以外は、「自然災害」による出動が目立っています。全体に占める割合は0.01%とわずかですが、前年比68.0%の増加となっています。
 都道府県別の救急出動件数をみると、昨年4月16日を本震とする熊本地震が発生した熊本県は948%の増加、10月21日に発生した鳥取県中部地震が発生した鳥取県は2600%の増加となっています。また、地震ではありませんが、気象庁が統計を取り始めてから初めて東北地方に上陸した台風10号による影響が大きかった岩手県は2000%の増加となっています。
 搬送した人の年齢構成をみると、65歳以上の高齢者が最も多く、全体の57.1%となっています。2015年の56.7%から0.4ポイント増加しており、他の年齢層に比べ増え方が大きくなっています。また、搬送した人の傷病程度別の内訳では、相変わらず入院を必要としない"軽症"が最も多くなっています。
 高齢社会を超え、超高齢社会に突入し、今後ますます高齢者の救急搬送件数は増えることが予想されます。本当に必要な人のところに駆けつけることができるように、必要性をもう一度考えてから119番通報をしていただきたいと思います。

【参考情報】
蚊に刺されてかゆいから救急車を呼んだケースも

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰


事故種別の救急出動の対前年比増減率(2016年、消防庁の資料をもとに作成)

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