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犯罪のトレンドは窃盗から詐欺へ

 2015年も残すところ、きょうと明日のみとなりました。今年も、安全・安心に関するいろいろなデータをご紹介してきましたが、犯罪データを総括すると、犯罪の多くを占める窃盗犯の減少が相変わらず続いています。これらの件数だけを見れば、国内の治安情勢は良い方向に向かっているといえます。しかし、振り込め詐欺に代表される詐欺犯罪、インターネットバンキングの不正送金などのサイバー犯罪は、増加傾向が続いており、必ずしも体感治安は良くなっていません。

 今年上半期のインターネットバンキングの不正送金被害は1件あたり約204万円と、半期として、これまでの最高となりました。ウイルス対策がなされていないパソコンや、OSにWindows XPを使っているパソコンなど、セキュリティレベルが脆弱なところからIDやパスワードが盗まれます。施錠されていない建物に侵入するのが容易であるのと同様に、守りの弱いパソコンも簡単に侵入されてしまいます。パソコンは、セキュリティ対策を行ってからネットに接続するようにしなければなりません。

 また、人の弱みに付け込んだり、子や孫を助けようとする親心に付け込んだりといった詐欺犯罪は後を絶ちません。今年11月までの特殊詐欺の被害額は1件あたり約373万円と、前年同期比で少なくなっていますが、地方では未だ増加傾向が見られます。
 さらに、今年10月に通知が始まったマイナンバーに便乗した詐欺も横行しています。国民生活センターに相談があった件数は、10月だけで90件となりました。11月の相談件数は落ち着いてきているようですが、年明けに制度そのものがスタートした場合、再び急増することが予想されます。

 近年の犯罪のトレンドは、建物に侵入して財物を盗み出すものから、ネットや電話で人を騙して金品を巻き上げる方向となっています。2014年の時点で、財産盗に占める詐欺の被害金額は、窃盗の被害金額を上回っており、2015年はその差がさらに広がる結果になると予想されます。かかってきた電話で「お金」の話がでたら、一旦切ってから、冷静に判断することが重要です。

【参考情報】
データから読む「2015年上半期の特殊詐欺は減少したけど・・・」
データから読む「信金・信組が狙われているネットバンキングの不正送金」
安心豆知識「個人情報を有効に利活用しよう」

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰

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