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高齢者に多い日常生活中の事故とは?

 5年に一度の国勢調査が行われています。人口や世帯数は、この5年間は推計値でしたが、それが実際の数値にリセットされます。
 2010年の国勢調査では、日本の人口は1億2805万7352人でした。また、65歳以上の高齢者は2924万5685人で、全体の22.8%となっていました。先ごろ発表された推計値によると、9月15日時点で26.7%とのことですが、今回の国勢調査による数値はどうなるでしょうか。
 高齢者の増加にともない、救急車のニーズも高まっています。今回は、高齢者の事故についてみてみます。

高齢になるほど事故は増加
 先日、高齢者の救急搬送状況について、東京消防庁からの発表がありました。これによると、2014年中に東京都内で救急搬送した65歳以上の高齢者は6万6022人となっています。直近の5年間をみると、一貫して増加傾向にあり、平均して年3300人くらいずつ増えています。年率5〜6%の増加といえます。
 中でも、事故の要因として最も多いのは「ころぶ」の4万7000件ほどで、全体の8割にも上ります。次に多いのが「落ちる」の6400件ほどで、全体の1割となっています。他には、のどに食べ物などがつまる、お風呂などでおぼれる、ものにぶつかる、手や指などを切る、やけどをする、などといったものがあります。これらの救急搬送者数を人口10万人当たりでみると、高齢になるにしたがって人数が増えています。65歳では1000人ほどですが、80歳では3000人ほど、90歳では7000人ほどとなっています。

軽症の「ころぶ」、重篤の「おぼれる」
 件数としては、「ころぶ」「落ちる」が多くなっていますが、半数以上が軽症で済んでいます。右の図は、代表的な事故の種別ごとに、症状の割合を示したものです。「ころぶ」のうち、入院の必要がない軽症と診断されたケースは全体の57.7%で、多くが居室や寝室といった住居内での事故であるためのようです。また、「落ちる」の場合は50.6%が軽症と診断されています。こちらも、階段、ベッド、椅子といった住居内が多くなっています。
 一方で、件数としては「ころぶ」「落ちる」ほどではありませんが、入院が必要となる中等症以上の割合が50%を超えるものとして、「ものがつまる」「おぼれる」があります。誤飲などによる「ものがつまる」では、重症、重篤、死亡を合わせると3割ほどになります。要因別では、餅も上位に入っていますが、"おかゆ"を食べた時が最も多くなっています。さらに、「おぼれる」では、軽症で済んだケースは、わずか2%で、9割が重症以上となっています。事故の発生場所は、ほとんどが住居内の浴槽となっており、死亡に至ったケースもかなり多くなっています。夏場はシャワーで済ませることが多いためか件数は少ないようですが、10月あたりから増えてきますので、家族で気を付けてあげてください。

超超高齢化社会での事故防止には
 WHOなどの定義では、全人口に対する高齢者の割合が7%を超えると高齢化社会、14%で高齢社会、21%で超高齢社会といわれています。前出の通り、日本は2010年の国勢調査の時点で、超高齢社会に突入しています。21%の次の28%には名称がついていませんが、警察政策学会の石附弘氏は、「超超高齢化社会」と表現しています。もはや、家族だけで対応するのは限界になってきています。
 また、一人暮らしの高齢者も今後ますます増えていきます。家族に加えて、地域や行政などの協力も必要です。行政の例では、不慮の事故を減らすなどの取組みを通じて、市民が安全・安心に暮らせる"セーフコミュニティ"という活動が自治体主導で広がっています。災害対策同様、自助・共助・公助の連携の考え方が必要といえます。重症や重篤などといった事故の増加に歯止めがかかればと思います。

【参考情報】
高齢者の生活を見守る「セコム・ホームセキュリティ」
急に具合が悪くなったり、ケガをしたりしたときセコムが駆けつける「セコム・マイドクタープラス」
在宅介護と24時間救急時対応をセットにしたサービスを開始
セーフコミュニティとは

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰

事故の種別ごとの症状の割合(2014)(東京消防庁の資料をもとに作成)

事故の種別ごとの症状の割合(2014)
(東京消防庁の資料をもとに作成)

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