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現在、多くの犯罪で減少が続いています。これは、刑法犯のうち多くを占める窃盗犯の減少が効いています。
しかしながら、一部の犯罪では増加もしくは横ばいとなっています。暴行や傷害、詐欺などです。では、子どもだけに注目した場合に、被害状況はどうなっているのでしょうか。
報道などでは、子どもが犠牲になったり、被害に遭ったりといった事件が時々見られます。先日、警察庁から発表になった統計から、最近の動向を見てみます。
増加傾向にある暴行や強姦
13歳未満の子どもが被害者となる犯罪件数の推移を右上の棒グラフに示しました。一部で増減はありますが、おおむね減少傾向といえます。しかし、大人を含めた犯罪同様に、子どもが被害になる犯罪についても、違う動きをしているものがあります。これらを折れ線グラフで示しました。
件数が多いものとして、暴行、傷害、強制わいせつです。5年間の増加率は、暴行が14%、傷害が10%、強制わいせつが17%です。また、件数は一桁少なくなりますが、殺人、強姦、略取誘拐等も増加傾向となっています。
今年上半期の傾向は
今回発表になった、2015年上半期の統計をみると、暴行、傷害、殺人、強姦については、依然として増加傾向にあります。ところが、強制わいせつと略取誘拐等については減少となっているようです。
警察庁では、2009年度から子ども女性安全対策班を設置し、子どもと女性を性犯罪などの被害から守るための体制を強化しています。警察本部によって愛称をつけているところもあり、警視庁では「さくらポリス」、愛知県警では「JWAT AICHI」などと親しみやすい名称をつけて、女性警察官が対応するなどの相談しやすい体制を敷いています。ちなみに、JWATはJuvenile and Woman Aegis Teamの頭文字を取ったものだそうです。
ソフト対策とハード対策の組み合わせ
子どもの日常生活を見守る体制も進んでいます。学校の安全対策や、通学路を見守るボランティアなど、地域のパワーを活用した安全対策が奏功しています。また、学校などで防犯教室を開催し、子ども自身の防犯力を高める工夫も進んでいます。
これらのソフト的な対策と合わせ、近年増えているのは、ハード対策としての防犯カメラの設置です。犯行の抑止効果は絶大であり、通学路の安全・安心に大きな効果をあげています。いまや犯人検挙に欠かせないツールとなっています。しかし、リアルタイムで監視を行っているところはほとんどありません。ですから、防犯カメラがあるからといった過信は禁物で、ソフト的な対策を十分に敷いたうえでのハード対策が有効といえます。
犯罪が起こる場所には条件があります。
1.犯罪者の存在
2.被害者の存在
3.監視者の不在
の3つが同時に成り立った場所です。これをルーティン・アクティビティ理論(日常活動理論)といいます。被害者にならないように危ない場所に子どもたちを行かせないこと、監視者が不在にならないように地域の見守りやカメラを活用することが、犯罪抑止に効果的です。
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰
子ども(13歳未満)が被害者と
なる犯罪(総数)(警察庁)
増加傾向にある子どもを狙った犯罪
(件数が3桁程度のもの、警察庁)
増加傾向にある子どもを狙った犯罪
(件数が2桁程度のもの、警察庁)
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