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熱中症搬送人数の増加と最高気温の関係

 毎日、暑い日が続いています。日本の夏は年々暑くなっているような気がします。そんな中、史上最高気温を更新する観測地点が続出しているということです。さらに、国内最高気温の記録も塗り替えられるという猛暑ぶりです。熱中症になる方もかなり増えており、病院に搬送された方は前年比30%近くも増加しています。

熱中症搬送人数と気温の関係は
 消防庁が発表した、今年7月の熱中症による救急搬送状況によると、全国で2万3699人と、7月としては調査開始以来最多でした。都道府県別の単位人口あたりの搬送人数をみると、大分県が最も多く、次いで和歌山県、高知県、鹿児島県、宮崎県の順となっています。
 この搬送人数と各県の気温との関係を示したものが右の図です。図中、右端の方にプロットされているのが、先に示した、大分、和歌山、高知などの点となります。ここで用いた気温は、最高気温を用いています。気温を観測している気象台やアメダス全ての日最高気温の月平均を用いて、県別の最高気温として使用しています。この図を見ると、気温が高い県では熱中症搬送人数が多くなっています。

熱中症は最高気温に注意
 県別搬送人数と県別の最高気温との関係を計算すると、相関係数が0.83となります。気温のデータを平均気温に置き換えてみると、相関係数は0.74とやや下がりました。相関係数は1に近づくほど、両者の関係が強いことになりますが、一般に0.7以上は強い相関と言われます。したがって、どちらも強い相関があると言えそうですが、強いて言うならば、平均気温よりも最高気温との関連が強そうです。

救急搬送の半分はシニア
 7月に救急搬送された方の年齢分布を見ると、65歳以上の高齢者が最も多く48.2%、次いで18歳から64歳の成人が37.0%と続いています。屋内で、熱中症と見られる症状で亡くなるケースも散見されます。一人暮らしの方は、積極的にエアコンを活用していただき、もし体調に不安がある場合は、すぐに誰かに連絡できる状況にしておくことも大切です。

暑さ指数にも注目
 今回は、気温との関係だけを書きましたが、本来は湿度も大きく関係しています。熱中症の指数としては、暑さ指数(WBGT)がISOやJISで定められています。もともとはアメリカで考案されたもののようですが、温度と湿度などの値から算出されます。この値が31℃を超えると、熱中症の危険性がかなり高くなります。気温が高く、湿度が高い日は、注意が必要です。また、この暑さ指数を地域ごとに見ることができるサイトを、夏期限定で環境省が開設しています。こちらも、熱中症対策のひとつとして活用してみてはいかがでしょうか。

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日経BPセーフティジャパン「高齢者の熱中症や家庭内事故に備える」

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰

熱中症搬送人数と日最高気温の月平均値の分布<br> (消防庁と気象庁のデータをもとに作成)

熱中症搬送人数と日最高気温
の月平均値の分布 (消防庁と
気象庁のデータをもとに作成)



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