ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > その低気圧に名前がある訳
台風のピークシーズンである9月も終わりに近づいていますが、今年も多くの台風が人々の生活に影響を与えています。
日本では、台風は「台風○号」のように発生順に付けた「番号」で区別しています。一方、台風には国際的な命名ルールがあり、台風の発生する地域であるアジア太平洋地域の国々が、あらかじめ決めた140個の名前を順番につけるという運用がなされています。日本もこの国際名称の命名国の一つであり、全部で140個ある名前のうちの10個は、「Yagi」「Usagi」など、日本語の星座の名称(やぎ座、うさぎ座など)をローマ字表記したものとなっています。
近代言語学では、名前は対象の差異を区別して表す手段であり、モノの名前は、それを区別して表す必要性から命名されると理解されています。区別する必要性のないところに名前はないということです。
日本語に、稲、籾(モミ)、米、飯、粥と言った名詞があるのは、稲作中心の農耕文化を背景に持つ日本語では、「その穀物」のさまざまな状態を区別する必要性があったからです。逆にその必要性が薄かった英語文化圏では、これらはすべて「ライス(Rice)」だけで表されています。逆に、昔から畜産が盛んな英語文化圏でCow、Bull、Ox、Heifer、Calf、Cattleと区別されている家畜は、日本語では「牛」だけで表されます。
一定規模以上の熱帯低気圧は、「台風」「ハリケーン」「サイクロン」などの名称で、一般の低気圧と区別されています。規模の大きい熱帯低気圧に一般低気圧と異なる呼称があり、さらにその一つひとつに固有の名前がつけられているのは、それを区別する必要性があるからです。台風などの規模の大きな熱帯低気圧は、昔から、その存在に注意しなければならない対象だったということです。
名前があるということは、いろいろな意味でその存在が意識され、注意されているということです。台風に限らず、災害や事故、事件などにも名前がつけられているものがあります。それを特定するための「名前がある」ということは、その対象が、意識すべき存在、注意すべき存在であるということなのです。
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