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知能犯だけが増加した2016年上半期の犯罪情勢

 警察庁がまとめた犯罪統計資料によると、2016年上半期の刑法犯認知件数は、前年同期比9.3%減少し48万8900件となっています。10年前の2006年上半期のほぼ半分となっています。
 犯罪別にみると、殺人や強盗を含む凶悪犯が10.1%の減少、暴行や傷害を含む粗暴犯が3.6%の減少、侵入盗を含む窃盗犯が10.0%の減少、詐欺や偽造を含む知能犯が5.1%の増加、わいせつを含む風俗犯が6.0%の減少となっています。
 強制わいせつや公然わいせつは、一昨年まで増加基調でしたが、昨年と今年は前年比減に変化してきています。

 唯一、増加となった知能犯をさらに詳しく見ると、詐欺が3.3%の増加、横領が3.2%の増加、偽造に至っては36.2%の増加となっています。
 偽造の中で特に目立つのが支払用カード偽造です。なんと前年比367.7%の増加となっています。昨年までは、年によって多少の増減はあるものの、ほぼ減少傾向でしたが、今年に入ってから増加が激しくなっています。
 記憶に新しいところでは、今年5月に全国のコンビニATMを中心に同時多発的に引き出された18億円ほどの被害です。海外の銀行の発行するクレジットカードを偽造したものでした。

 知能犯は、2010年頃までは、他の犯罪と同様に減少していましたが、その後は横ばいから増加へと変わってきています。オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺も被害総額こそ減少していますが、件数としては依然として増加しています。
 また、インターネットを介した詐欺行為も多く見られます。いまや、現実世界での犯行から、人を騙して金銭を奪い取る犯行に変わってきていることを知っておいていただきたいと思います。

【参考情報】
データから読む「窃盗と詐欺の被害額が拮抗」
データから読む「コンビニ支払いを悪用した架空請求詐欺が登場」

セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰


犯罪別の増加率(2015年上半期と2016年上半期の比較)(警察庁)


知能犯の件数推移(各年1〜6月、警察庁)

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