ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 高止まりが続く駅構内での暴力行為
街なかで、ちょっとしたいざこざを目にすることが時々あります。それが大きくなってしまい、暴力事件に発展してしまうことがあります。毎日の通勤・通学の途中でも、駅構内や列車内などで声を荒げている人を見たことがある方もいらっしゃるかと思います。
先日、日本民営鉄道協会に加わっている大手私鉄16社、さらにJR6社などを合わせた32の鉄道事業者がまとめた「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」が発表されました。それによると、2014年度に起こった駅員などへの暴力事件は800件にのぼります。前年度に比べて5.3%の増加となっています。
2000年頃から増えだした暴行犯罪
右上の図は、年度別に見た駅員への暴力事件の推移ですが、ここ数年は減少傾向でした。ところが、2014年度になると、わずかですが増加となっています。
警察庁の統計をみると、2014年の暴行事件は3万2372件です。1990年代は、年間6〜7千件でしたが、2000年あたりから急増し、2006年に3万件を超えてから高止まりが続いています。
同協会の過去の統計をみると、駅員などへの暴力行為件数も似たような推移となっており、2002年あたりから増えだし、2008年頃から高止まりとなっているようです。
また、この調査では、月別や曜日別、時間帯別の分析も行っています。2014年度の場合、5月、12月、8月の順で多くなっていますが、2013年度をみると、7月、8月、9月の順、2012年度では、7月、4月、5月の順となっており、特別に何月が多いといえるほどの傾向はみられません。一方、曜日、時間帯でははっきりとした傾向が見て取れます。
週末の深夜に多い駅員などへの暴力行為
曜日別の分析をみると、おおむね週末に多くなっています。2014年度は日曜日が最も多くなりましたが、この3年を平均すると、土曜日、金曜日、日曜日の順に多くなっています。さらに、時間帯別では、深夜帯が多くなっています。
右下の図が、時間帯別の件数です。どの時間帯も1時間当たりの件数に計算しなおしてあります。22時から翌朝5時までの深夜帯が最も多く、次いで17時から22時までの件数が多くなっています。このように、曜日別、時間帯別の件数分布から、加害者の傾向は想像が付きますが、その答えは、この調査資料の最後にまとめられています。加害者の飲酒の有無を示したものがあり、飲酒あり、飲酒なし、不明の割合が、6対3対1となっています。多くのケースが酒に酔った勢いで、事件を起こしていると考えられます。
譲り合いと思いやりを持って
週末に、会社などの帰りに、羽目を外すことはあるかもしれませんが、いつもお世話になっている鉄道各社の駅員さんに、やつあたりするのは如何なものでしょうか。筆者も、乗客同士がけんかしているのを目撃したこともありますが、飛び蹴りをしている人を見たときは、さすがに驚きました。乗客同士、もしくは駅員に対して暴行を加えることは、明らかに犯罪です。
多くの場合は、ちょっと体がぶつかったとか、足を踏まれたとか、注意を受けたとかという些細な出来事が発端になっているような気がします。確かに、日本の通勤事情をみると、イライラが募るシーンは少なくないかもしれません。もしかしたら、自分にも非があったかもしれないと思い直し、譲り合いと思いやりの気持ちを忘れず、心穏やかに過ごしていただける人が、ちょっとでも増えれば、増加を続ける暴行事件は減少に転ずるかもしれません。
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰
駅員などに対する暴力行為
発生件数の推移(日本民営鉄道協会)
駅員などに対する暴力行為の
時間帯別の発生件数
(日本民営鉄道協会の資料をもとに作成)
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