ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 周りに合わせるあたりまえの防犯対策
・世界の人がニヤッとするジョーク
皆さん、想像してみてください。いろいろな国からの乗客が乗った客船が沈没しはじめました。船長は人々を説得して海に飛び込ませなければなりません。はたして、船長は各国からの乗客に何と言って海に飛び込ませたでしょうか?
船長の説得の言葉は次の通り。アメリカ人には「飛び込めば英雄(ヒーロー)です」、英国人には「飛び込めば紳士(ジェントルマン)です」、ドイツ人には「飛び込むのが規則です」、イタリア人には「飛び込むともてます」、フランス人には「飛び込まないでください」、そして日本人には、「皆さん飛び込んでいますよ」。「沈み行く客船」と名づけられた、世界で通用するジョークだそうです。
このジョークは、各国の人々がとりがちな行動パターンをうまく表したものとして有名であり、世界中の人が、思い当たる節にニヤッと笑えるのだそうです。日本人についても「集団となった日本人の行動パターン」をたくみについているのではないかと思います。
・「周りと一緒か?」という行動規範
このジョークにもあるように、私たち日本人には、多かれ少なかれ「周りと一緒か?」、そして「周りの人々にどう思われるのか?」という行動基準があります。「赤信号、皆で渡れば怖くない」という一世を風靡した流行語にもある通り、私たち日本人には「皆と一緒」なら、相当のことでも怖さを伴わずにしてしまう傾向があるのは間違いないところでしょう。
しかし、世界で通じるジョークにもなっている、この「周りと一緒か?」という行動基準は、日本人に限らず、およそ「ヒトという種」全般が持っている傾向であるといえます。
防災分野では、ついつい周りの人々と一緒の行動をしてしまう心理特性を「多数派同調バイアス」と呼び、非常事態の際の避難を遅らせる「偏見」として注意の対象としています。
・「周りのまね」はリスクが小さい
一方、「When in Rome, do as the Romans do.(ローマに居てはローマ人のするようにせよ)」、「郷に入っては郷に従え」など、世界の各地にある言い回しにあるように、「周りの人のまねをする」ことは必ずしも悪いこととは言えません。「周りと一緒か?」を気にし、周りの人間が食べているモノと同じモノを食べ、避けていることを避けることは、一般には、日々のリスクを小さくすることができます。これは、古今東西を問わず言えることであり、人々の考え方に「ついつい周りの人々と一緒の行動をしてしまう」本能的な傾向があるのも、これがゆえと言えるでしょう。
多くの生物の種がある中で、「意識的に他者の真似ができる」種は、きわめて限られています。太古の昔からのながい時間の中で、滅んでいった種は枚挙にいとまがありません。「周りと一緒か?」を気にし、周りに合わせる、真似をすることで、ヒトは、リスクを避け、種としての命を長らえてきたと言えます。
・周りと比べて「より弱いところ」が狙われる
人は、外出の際にはカギをかけるのが普通です。カギをかけることで、泥棒の被害にあう確率を減らすことができることが、先人達の多くの経験から分かっているからです。それゆえ、「カギをかけること」(施錠)は、防犯行動として、「当たり前のこと」(常識)になっているのです。
最新の侵入の手口で、特に増えたモノが「無施錠箇所からの侵入」です。は、無施錠箇所からの侵入が、泥棒にとって一番楽に侵入できる手口であることに異論をはさむ人はいないでしょう。それにもかかわらず、常識に反して「カギをかけない」という不安全行動をしてしまう人が少なくないということを、この統計は物語っています。
侵入場所からの「収穫」を生活の糧にしているプロの泥棒は、周りとくらべて相対的に弱いところをターゲットとして狙ってきます。これに対抗するために、私たちは、周りの人々が当たり前に行っている「施錠」のような、常識的防犯対策を決して甘く見るべきではありません。
相対的に弱いところをターゲットとして狙うというプロの犯罪者の特性を考えると、防犯対策こそ、「周りと一緒か?」を気にし、周りに合わせる、真似をするということが大切になるのです。
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