ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 増加傾向にある子どもの転落事故
先日、マンションの11階から子どもが転落するという事故がありました。幸い、駐輪場のトタン屋根がクッションとなり、命を落とすことはありませんでしたが、一つ間違えば大惨事となるところでした。
最近、このような、マンションの高層階から転落するという事例が散見されるような気がします。しかも、ケガでは済まず、悲しい結果となっているケースが多いようです。
「マンション、転落」というキーワードで、全国紙の新聞を検索したところ、1990年代は年100件ほどでしたが、最近は年300〜400件と増加傾向にあるようです。近年、都市部においては、高層マンションが増えており、今後ますます、このような悲惨な記事が増えていかないとも限りません。
2歳、3歳に多い転落
東京消防庁のまとめた資料によると、2013年に救急搬送された人のうち、ベランダや窓から転落して搬送された乳幼児は26人で、この3年間で最も多かったようです。そのうち21人は入院が必要となる、中等症以上で、さらに、そのうち9人は生命の危険がある状態だったとのことです。
右の図は、この3年間の年齢別搬送人員を示したものです。3年で65人の搬送があり、うち2歳と3歳が最も多くなっています。この時期は、好奇心が強くなってきて、いろいろな行動が始まるようです。しかし、バランス感覚がまだ十分とは言えず、身を乗り出すなどして転落に至ってしまうようです。
高層階居住者は高所平気症?
ベランダに足場になるような台が置かれていたり、エアコンの室外機があったりすると、それに上って柵を越えてしまい、誤って転落してしまうことになります、特に、乳幼児は頭部が重いため、ちょっとバランスを崩すと、頭から落ちてしまうケースが少なくありません。また、マンションの高層階に住んでいると、高いところが怖いという感覚が麻痺してしまうこともあります。まさに、高所平気症という感覚なのかもしれません。
高いところが怖いというのは、ここから落ちて死んでしまったらどうしよう、という不安が大きくなったものといわれます。しかし、小さいころから高層階に住んでいると、その感覚は麻痺するようで、特に、中高生になると、面白さや楽しさが勝ってしまい、怖いという感覚を上回ってしまうケースがあります。そんな時、前出のように、誤って転落してしまうという事件が起きているのかもしれません。
高いところが怖いという本能
先日、とある14階建てのマンションに視察に行きました。その時、屋上から周辺の状況について説明してもらったのですが、普段、地面に近いところに住んでいる筆者は、足がすくんでしまいました。ところが、高層マンションに住んでいる人は、そうでもなかったようです。本当に高所平気症というものがあるのではないかと、実感した瞬間でした。
大人は、生活環境やこれまでの経験で、怖いという感覚を知っています。しかし、小さいお子さんは、その恐怖感が十分に醸成されていません。もしもの悲惨な事故が起きないように、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では、ベランダに続く窓のカギを開けにくいものに交換するなどで、お子さんが不用意にベランダに出てしまうことのないようにすることと、万が一出てしまった場合でも、柵によじ登れないように、事前の対策をしておいていただきたいと思います。
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰
乳幼児の年齢別搬送人数
(2011〜2013の3年間
の合計、東京消防庁)
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