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防犯ガラスは4kgの鋼球落下にも勝つ

 みなさんがご自宅に入る場合には、玄関から入ることがほとんどかと思います。しかし泥棒にとっての入口は、窓が一番多いというデータがあります。さらに泥棒が窓ガラスを全面的に破壊して侵入することはまれで、一部を破壊してから手や工具をさしこみ、クレセント錠を解錠して侵入します。
 つまり、ガラスが頑丈であれば、泥棒は侵入に時間がかかり、あきらめてくれる確率が高くなります。防犯合わせガラスは、ガラスとガラスの間に特殊なフィルムを挟み込んだ構造で、そのフィルムが破れにくいために侵入を阻止することができるのです。

侵入手口に勝つガラス
 今から10年ほど前の2002年、刑法犯の認知件数は285万件を記録しました。これ以上の建物への侵入犯罪増加を食い止めようと、2004年に警察庁や建物部材メーカーなどで「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が設置されました。その時の防犯性能の基準として、5分以上侵入を阻止することができた部材を「合格」としました。

 ガラスについては、現在のところ、打ち破り試験、こじ破り試験、焼き破り試験の3つが設定されています。

侵入を食い止めるための厳しい基準
 どの試験についても、破れたガラスから手首が通る程度ということで、7.5cmの球が通る穴が開くかどうかを見ます。破壊の場所は、クレセント錠付近と補助錠付近の2カ所としています。
 まず、打ち破り試験はバールでの計7回の打撃に、こじ破り試験はドライバーを差しこんでのこじ破りに、焼き破り試験は携帯用バーナーを用いた攻撃にそれぞれ5分耐えられるかどうかという試験です。すべての試験に合格した場合に、“防犯性能の高いガラス”として目録に登録されます。

 これらの試験の受験資格というものもあります。板硝子協会の定めるP2Aという防犯基準をクリアしていることとなっています。その基準の概要は、直径10cm、重さ4.11kgの鋼球を3mの高さから落下させて貫通しないこととなっています。ちなみに、この鋼球というのは比重から見ると鉄のようです。

部材と合わせて防犯意識の向上も
 この官民合同会議での基準に合格した建物部材には「CPマーク」が貼付されています。いわば、泥棒に侵入されにくい部材であることの証しといえます。セコムでも「SECOMあんしんガラス」として、防犯ガラスをラインアップしています。もちろん、CPマークの認証を受けています。防犯性能の高い建物部品を用いることで、より安心した生活に近づけると思います。
 しかし、部材だけレベルアップしても、それを利用されるみなさんの防犯意識が脆弱では意味がありません。施錠励行などの防犯意識も合わせてレベルアップしていただきたいと思います。

(参考)
・データから読む「泥棒は5分で侵入をあきらめる?」(2009年07月01日)
・ガラスの防犯性能に関する板硝子協会基準(板硝子協会)
・建物部品の防犯性能試験の方法(全国防犯協会連合会)


セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田宏彰

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