ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 危険を感じる津波の高さは?
東日本大震災から7カ月が過ぎ、大きな被害となった石巻市では、すべての避難所が閉じられたということです。
しかし、実際の復旧・復興には、まだまだ時間がかかると思われます。皆さんの中で、震災の記憶はどのように変化してきましたか。以前、震災後に防災について話し合った家族が増えたという記事を書きましたが、避難をするときの約束ごとなどについては何か基準を決めていますでしょうか。
1mの津波を恐いと思う人は半分以下
先日、東京大学地震研究所が行った調査結果が公表されました。津波の高さを聞いたときに、どのくらいの高さから危険と感じるかというものですが、その結果はちょっとビックリするものでした。
東日本大震災よりも前に調査した時は、50cm以下の津波を危険と感じる人は34.6%、1m以下を危険と感じる人は70.8%でした。ところが、震災後に調査した時では、50cm以下で19.7%、1m以下で45.7%となりました。
「慣れ」とは恐ろしいもの
今回の大津波で、津波は恐いと感じる方は増えたはずです。しかしながら、「10mの津波」とか「30mの津波」といった、これまでの基準をはるかに超える情報を見聞きすることが多くなり、高さが1桁小さい津波に対する恐怖が低下してしまったようです。
今回の調査は、静岡県から西の太平洋沿岸17府県にお住まいの方を対象にしていることもあり、より報道などの印象が強いのではないかと考えられます。震災前は低い高さの津波でも多くの方が恐怖を感じていたはずなのに、感覚が麻痺してしまったようです。
人がものごとに対応するときに、最初は気をつけていたことでも慣れが生じてくると、気をつけるレベルが低下することがあります。
自動車の免許を取った直後は、慎重に運転していたのに、運転に慣れてくると慎重さがなくなってきます。そんなときに事故に遭遇してしまうものです。今回の、津波の高さに対する恐さの感覚などを含め、危機管理にとって「慣れ」は非常に危険なことです。
津波リスクを過小評価しない
リスクを回避する上でも、そのリスクがどの程度であるかを正しく見積ることがとても大切になります。その見積りを見誤ると回避できるものもできなくなってしまいます。
気象庁は、規模の大きな地震にともなう津波警報第1報を発令する場合に、具体的な数値で伝えることはせず、単に避難を促すように変更するようです。住民が、津波のリスクを過小評価してしまった場合、大きな被害につながる可能性があるためです。
今回の大震災で、津波の恐ろしさは国民全員が認識したと思います。津波というものがどういうものなのか再度確認していただき、津波に対する正しい対処方法を知っていただきたいと思います。
(参考)
・データから読む「東日本大震災以降に災害時の話し合いをしたご家庭は9割弱」
・データから読む「津波警報で避難した人は1割以下」
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田宏彰
どのくらいの高さの津波を
危険だと感じるか
(震災前後の感覚の変化)
(東京大学地震研究所調べ)
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