ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 通報される万引きは4分の1
あけましておめでとうございます。今年も客観的なデータを用いて、事実をベースにお伝えしていきたいと思います。月水金フラッシュニュース「データから読む」を今年もよろしくお願いします。
2011年、1回目は「万引き」をテーマにしたいと思います。愛知県警が、万引きにあった店を対象に調査したところ、「すべての被害を通報している」という店は4分の1しかないそうです。
通報すると手続きに時間がかかるとか、代金を支払ってもらったからなどで、通報をしないケースが圧倒的に多いことがわかりました。
犯人側も「たかが万引きくらい」という軽い意識がある上に、店側の意識も「大したことではないから届けなくても良い」という意識があり、これらの相乗効果で万引きは立派な犯罪であるにもかかわらず、軽く見られる傾向にあるのではないでしょうか。
右の図は、万引きの認知件数と刑法犯に占める割合を表したものです。棒グラフが、万引きの認知件数の推移を表したものです。およそ20年前の1992年には約6万6000件でしたが、その後増加を続け2004年にピークを迎えます。それ以降は、多少の増減はあるものの、約15万件で推移しています。
これを見ると、増加に歯止めがかかったようにも見えます。しかし、別の見方をすると、そうともいえないようです。刑法犯全体の数に対する万引きの数の割合の推移を見たものが、右図の折れ線グラフです。最近になっても上昇の勢いは衰える様子は見られず、2010年11月の時点で9.3%となっています。2010年通年でも同等の値になるかと思われます。
つまり、このまま何の対策も打たなければ、犯罪全体のうち1割以上が万引きになってしまう可能性もあるのです。
警察庁は昨年9月に「万引き防止に向けた総合的な対策の強化について」という通達を各都道府県の警察に出しました。「万引きをさせないための社会づくりの推進」として、万引きを許さない社会をつくり、万引きが犯罪であることを周知徹底させようとしています。
また、「万引きに対する適切な事件処理の推進」として、店側が届け出を面倒と思うような雰囲気を一掃して、事件処理を迅速化、合理化しようとしています。
4分の1しか通報されない状況を変え、どんな小さな万引きでも「悪いことは悪い」という風を社会全体に吹かせることが、万引きを排除するためには必要なことかと思われます。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田宏彰
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