ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 子どもと安全マップを作る意味
本日、8月23日は処暑。二十四節気中の「立秋」の次の節気にあたり、昼間はまだまだ暑い日が続くものの、朝夕は涼風が吹いて初秋を感じさせる頃、暑さが落ち着いてくる頃という意味だそうです。暑さも峠を越したということで、子どもたちはそろそろ夏休みの宿題が気になってきているのではないでしょうか。
夏休みの宿題で子どもたちが頭を抱えるものの一つに「自由研究」があります。具体的な課題を与えられて、それをこなせばよい他の宿題とは異なり、研究テーマの設定自体が難しい課題となるからです。8月上旬の「子供の防犯ブログ」では、この自由研究のテーマとして、「安全マップ」を親子で作ってみてはという提案をしましたが、今回はこの安全マップの作成の意味について考えてみたいと思います。
「安全マップ」とは、子どもがよく出かける場所を中心に、町を実際に歩きながら、安全な場所や、危険な場所、注意が必要な場所をチェックしてつくるオリジナルの地図のことです。安全な場所、危険な場所を、一つひとつ確認し地図に書き込んでいくことで、子どもの安全に対する意識を高めることができます。この「安全マップ作成による子どもの防犯意識の啓発」ですが、学術的観点からの裏付けがあります。
「人々の日常活動動向の変化に犯罪の発生原因がある」とする「日常活動理論」と呼ばれる犯罪学の考え方がそれです。この考え方では、犯罪は、次の4条件が重なったときに成立すると主張しています。
・犯罪を行おうとする人間(潜在的な犯罪者)
・犯罪のターゲットとなる人や物
・潜在的な犯罪者とターゲットが同時に存在する場所
・潜在的な犯罪社とターゲットが同時に存在する場所を監視する人間の不在
安全マップの作成は、自分たちの住んでいる町で、この日常活動理論の後半2つの条件が成り立つ場所を、「犯罪が発生しやすい場所」として、子ども達に確認させるという意味があります。犯罪が起こりやすい場所は「入りやすく、見えにくい場所」であり、安全マップ作成においては、「その場所の条件」を子どもたちに意識させながら地図を作るのが重要であると言われます。これらの「入りやすい」、「見えにくい」の2つが、それぞれ日常活動理論の3つ目と4つ目の条件に当てはまるのです。
「犯罪を行おうとする」人間をコントロールすることは、私たちにはなかなかできません。それゆえ「犯罪が起こりやすい場所」の条件に着目し、自分たちの生活圏の中でそれに当てはまる場所を見出すと同時に、子どもたちの「犯罪が起こりやすい場所」に対する嗅覚を養って、子どもたちをその場所に近づけないようにしようというのが、安全マップ作成による防犯教育の本質的な意味となります。
安全マップ作成は、単に夏休みの自由研究の宿題をこなすということに留まらず、いざというとき、子どもが自分で状況を判断して安全だと思える行動を取る能力を養う、良い訓練になります。具体的な手順や手法については、先に挙げたブログで紹介していますので、お子さんから自由研究で相談を持ちかけられている方はぜひ参考にしてみてください。
(参考)
・自由研究にぴったり!親子で一緒に「安全マップ」をつくろう(セコム「子供の防犯ブログ」 2010/08/05)
・安全マップ(セコム防犯・防災用語集)
・子ども防犯テキスト みんなで気をつけて事件をふせごう!(警察庁)
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |