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前回のコラムで、国際的な振り込め詐欺の手口について紹介しましたが、最近「故人に借金の返済を催促する」詐欺の手口が日本に入ってきています。
新聞などで入手した死亡情報をもとに、その故人宛に親しい友人のように装って「前に貸したお金、物入りになったので、そろそろ返してくれないか?」と手紙を出すというのがその代表的手口です。故人が、生前に親しい友人から借金していたと、遺族に思いこませるのがその狙いです。遺族は、その「親しい友人」に、亡くなった故人の代わりに借りてもいないお金を返してしまうのです。
親しさを演出された手紙で、たとえば数十万円という「(借用書を書かないかもしれない)あまり多くない金額」を返してくれと要求されると、遺族は騙されているとは思わずに、そのお金を出してしまいがちなのです。架空請求詐欺のバリエーションの一つで、うまく立ち振る舞われると、騙されていることにすら気づかない巧妙な手口と言えるでしょう。
こんな手口に、遺族は、なぜいとも簡単に騙されてしまうのでしょうか。一つは、親しい人が亡くなったということで気持ちが普通の状態ではないこと、もう一つは、金銭に関する貸借契約の記録がないことの二つの理由が考えられます。
本稿では、このようなことにならないように、自分のした契約は、きちんと記録に残し、一覧で分かるように残す習慣をつけることをお勧めしたいと思います。定期的に支払いを行わなければならない電力や電話、水道などの契約から、クレジットカードや金融機関の口座、保険契約、ネットで行った売買契約などまで、大小問わずすべての契約について、契約番号や連絡先などの情報をまとめて記録しておくのです。このようにすることで、何かあったときに動転せず、気持ちに余裕を持って対応することができるようになります。先の詐欺の手口の例でも、故人にそんな借金がないことが一目瞭然で分かるようになっていれば、遺族を騙すことは難しくなります。
財布を落とした、泥棒に入られた、急に長期の入院をしなければならなくなった、火事になった、見知らぬ請求書がきた、人生には何が起こるか分かりません。その際、自分の交わしている契約内容を一覧で見ることができるようになっていれば、いろいろな出来事に対し、その場その場で適切な行動を取ることができます。一覧を作る時に、多少の面倒はあるかも知れませんが、何かあったときに非常に役に立ちます。
突然起こる出来事への準備は、このような簡単な対策から始まります。自分の結んでいる契約の棚卸しを行うことは、お金がかかるわけではありません。皆さんも、ぜひ始めてみてはいかがでしょうか。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
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